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JASPIC 夏のソフトウェアプロセス改善セミナー in 東京 & 大阪
主催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC)
オンライン予行集
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今日、ソフトウェアは重要な社会・産業システムを支えるだけでなく各種工業製品の高機能化と相まって、
規模が飛躍的に増大すると共にその重要性をますます高めています。JASPICは、さまざまな組織における
ソフトウェアプロセスの改善と、それに伴うプロス評価に関する研究、技術移転、普及活動や国際交流な
どに取り組んできました。日本における、こうしたプロセス改善活動で得られた技術や知見を集大成し、
技術力向上と普及の場として、2003年より毎年秋に SPI Japan(ソフトウェアプロセス改善カンファレン
ス)を開催してきましたが、今年度からは、日本におけるSPI活動をさらに活性化させたいという思いの
もと、JASPICの活動成果や SPI Japan で評価の高かった発表を公開する場として、「夏のソフトウェア
プロセス改善セミナー」を開催することとしました。
本セミナーは東京と大阪で、以下のプログラムで開催いたしました。講演は、発表当時からの変化なども
追加した内容となっております。また、チュートリアルでは、JASPIC分科会活動の成果を活用したテーマ
と、SPI活動に関連の深いテーマの2つずつを用意しました。これらのうち、講演に使用された資料を、講
演者の方々のご厚意を得て、公開いたします。プログラムからリンクをたどってください。
●東京開催要領
■日 程:2008年6月23日(月) 10:00-16:50(受付9:30開始)
■場 所:全国情報サービス産業厚生年金基金会館(JJK会館)
■参加費:¥15,000.
【プログラム】
9:30-10:00 受付
10:00-10:10 オープニング
10:10-11:00 講演(1)
講演者 :岩見 好博(JASPIC特別会員)
タイトル:ソフトウェア開発委託の実態 -責任回避と丸投げの病理-(概要、発表資料)
* SPI Japan 2005 最優秀発表賞受賞
11:00-11:50 講演(2)
講演者 :安倍 秀二(パナソニックエレクトロニックデバイス(株))
タイトル:プロセス改善活動の立ち上げと定着
~成功の秘訣は効果的なアセスメントの制度化~(概要、発表資料)
* SPI Japan 2006 最優秀発表賞受賞
11:50-13:30 昼食
13:30-16:50 チュートリアル(並行セッションです、(1), (2) どちらか一方をお選びください)
チュートリアル(1)
講師 :JASPIC CCT分科会
タイトル:プロジェクトを計る! ~TSP/PSPによるプロジェクト管理~(概要)
チュートリアル(2)
講師 :菅野 文友(系統技術研究所)
タイトル:事実から真実を推測する要領(事実確認即真実推測要諦技法骨子)(概要)
●大阪開催要領
■日 程:2008年7月7日(月) 10:00-16:50(受付9:30開始)
■場 所:大阪産業創造館
■参加費:¥15,000.
【プログラム】
9:30-10:00 受付
10:00-10:10 オープニング
10:10-11:00 講演(1)
講演者 :森田 祥男(ソニーグローバルソリューションズ)
タイトル:プロセス改善の真髄 ~日本のソフトウェア産業の発展に向けて~
(概要、発表資料)
* SEPG Japan 2003 最優秀発表賞受賞
11:00-11:50 講演(2)
講演者 :阪本 太志(東芝デジタルメディアエンジニアリング)
タイトル:『8年目のSPI』 ~継続的に改善するための秘訣~(概要、発表資料)
* SPI Japan 2006 プログラム委員長賞受賞
11:50-13:30 昼食
13:30-16:50 チュートリアル(並行セッションです、(1), (2) どちらか一方をお選びください)
チュートリアル(1)
講師 :JASPIC CCT分科会
タイトル:プロジェクトを計る! ~TSP/PSPによるプロジェクト管理~(概要)
チュートリアル(2)
講師 :涌田 亮一(富士通)
タイトル:品質管理と実践のノウハウ ~品質管理を根付かせるためのひと工夫~(概要)
●講演、チュートリアルの概要
・講演(東京1)
講師 :岩見 好博(JASPIC特別会員)
タイトル:ソフトウェア開発委託の実態 -責任回避と丸投げの病理-(発表資料)
概要 :あるサブシステムが外部委託開発プログラムの品質不具合で稼動延期となった。受入検
収が十分でなく結合テストでバグが多発したためであった。そこで開発委託 プラクテ
ィスの改善に取り組み、簡単な手法を現場に紹介し実践した結果、対象システムを期日
どおりに稼動できた。この過程で、開発委託に関わる大きな問題が浮かび上がってきた。
改善プラクティスの内容と効果とともに、この問題の本質を論じる。
・改善プラクティスの詳細
-要件レビューで委託先の仕様理解度の確認
-ソフトウェア設計書の精査
-受入検収の強化
初回テストでの不具合率20%以上を「要注意モジュール」とし、これを重点的に
フォローした。
・改善効果
-以降の結合・統合テストで大きなバグが出なかったため、予定期日に稼動できた。
-ソフトウェア受入検収プラクティスの強化
-委託先に緊張感が出てきた
「あそこは検収が甘い」と委託先から甘くみられていた状況が大きく改善された。
・残された課題
-委託元(弊社): 「リスク(責任)回避」
妥当な開発費見積もりがなく委託外見積りを評価できず、単価ベースでの値引き交渉に
終始した。
-委託先: 「丸投げ」
A社(契約) ⇒ B社(A社子会社) ⇒ C社(開発担当)との下請け構造。
しかも、C社へほぼ丸投げしていた。値切ると品質の悪い(=単価の安い)会社に
下請けに出すことが多い。
・講演(東京2)
講師 :安倍 秀二(パナソニックエレクトロニックデバイス(株))
タイトル:プロセス改善活動の立ち上げと定着 ~成功の秘訣は効果的なアセスメントの制度化~
(発表資料)
概要 :プロセス改善活動(以下SPI活動)を立ち上げ、定着させるために、社内でアセスメント
活動を制度化し、現場でのSPI活動の定着の度合いを診断する仕組みを導入した。
現場の負担にならないよう効率的にアセスメントを進めるために、独自の軽量アセスメン
ト手法を開発し、『MEIアセスメント』制度(MEI=Matsushita Electric
Industrial Co. Ltd.)を確立した。また、社内の事業場から応募によってアセスメント
チームを構成し、アセスメントを実施することにより、社内事業場間のベスト
プラクティスとSPI人材の交流を行い、早期のSPI活動の立ち上げを促進した。
併せて、アセスメントにてプロセスの実装状況やSPI活動の状況を、現場、現物を通じて
学ぶことができるため、アセスメントを評定と改善点の抽出をするだけにとどめず、参加
者のSPI活動のスキルを身につけさせる場とし、SPI活動の定着を加速したので、それらの
しくみについて報告する。
・講演(大阪1)
講演者 :森田 祥男(ソニーグローバルソリューションズ)
タイトル:プロセス改善の真髄 ~日本のソフトウェア産業の発展に向けて~(発表資料)
概要 :日本企業が最も得意とし他国の追随を許さず今日の発展を支えてきた高品質・高生産性・
低コストの物づくりにおけるプロセス改善の知恵と伝統を、ソフトウェア分野にも上手
く適用することで、日本のソフトウェア産業のさらなる発展に貢献するための考察を述べ
る。そのポイントはたくさんあるが、主に次のような点が挙げられる。
・プロセスというものの本来の姿と、プロセス改善の真の意味を理解し行動すること。
・一人一人がプロセスの改善と成果物の品質向上について自主的に役割を担うこと。
・極めて高い改善目標を掲げ、チーム全体でそれに取り組むこと。
・不都合が生じた原因を個人の責任とせず、真の原因と再発防止を徹底的に検討すること。
この他にも、スピード重視、顧客満足、協力会社の巻き込みなど、さまざまな深い取り
組みが日本企業には見られる。このような日本型プロセス改善は、欧米企業ではなかなか
浸透させることが難しいものが多い。CMMやPMBOK、ISO9000では欧米的組織管理をベースに
作成されているので、そのままを適用するのは我々にとって実はあまり得策ではない。
今こそ、日本人の特性を活かした、日本型経営、日本型プロセス改善を進め、国際競争力
を高めようではないか。
・講演(大阪2)
講演者 :阪本 太志(東芝デジタルメディアエンジニアリング)
タイトル:『8年目のSPI』 ~継続的に改善するための秘訣~(発表資料)
概要 :プロセス改善を推進していると、定着する前に挫折したり、ある程度のレベルに達した
ことで満足してしまう組織は少なくない。そんな中、改善を進める過程で本質に気付き、
より良くするための探究心に火が灯り、自ら進んで改善を進めていく組織があった…。
SPI Japan 2006では、「何故か?成功してしまう」組織の中にあったトップダウン・ボ
トムアップ相互にモチベーションを維持する「褒めるサイクル」を手軽な改善推進のヒ
ントとして報告した(*1)。これら、成功した組織の事例は他の組織にも伝播し、より進化
し、弊社でのプロセス改善活動は8年間継続するに至った。
今回の報告では、プロセスや推進事例を具体的に報告すると共に、組織的な学習という側
面を持つ『アセスメント駆動型改善推進』や、今後より活発化し継続させるための『高成
熟度組織の展開』など実施中の活動を含めて取り上げ、改善を効果的に継続させるための
秘訣を探る。
(*1):SPI Japan 2006 「コスト不要!モチベーション向上のヒント」
http://www.jaspic.org/event/2006/SpiJapan/proceedings/2b3.pdf
・チュートリアル(東京1、大阪1)
講師 :岩見 好博(JASPIC コアコンピテントチーム(CCT)分科会)
タイトル:プロジェクトを計る! ~TSP/PSPによるプロジェクトマネジメント~
概要 :プロジェクトの状態は、立ち上げから完了まで随時変わります。その状態をどのように
可視化するかが現在のプロジェクトマネジメントにおける最大の関心事の一つです。
Team Software Process/Personal Software Processを使えば、データ計測を通してプロ
ジェクトの進捗だけでなく成果物の品質をも可視化でき、大きな品質問題を事前に防ぐ
ことができます。
本チュートリアルでは、TSP/PSPでのプロジェクトの計画立案、運営方法について「品質
計画の立案」、「品質の追跡」および「残存欠陥数の推定法」を中心にTSPサポートツール
を使いながらご紹介します。
※受講される方は8桁程度の電卓をご持参ください。演習で必要となります。
※当日紹介するサポートツールは以下のサイトから無償で入手、利用できます。
http://processdash.sourceforge.net/teamdash.html
・チュートリアル(東京2)
講師 :菅野 文友(系統技術研究所)
タイトル:事実から真実を推測する要領(事実確認即真実推測要諦技法骨子)
概要 :ソフトウェア(電脳軟件)製品生産時に必要な「データに語らせ、データに聴く」技法の
多角的活用が、未だ不十分と思われる。そのための
機会損失の撲滅に資するものとして、計6点の技法を具体的に提示する。
1. 過去の定性的データをトップダウン的に組み合わせて出現確率を推定するETA技法。
2. 各因子の組み合わせでボトムアップ的に効用を比較するEMECA技法。
3. 各要因の寄与率に注目してS/N 比的に効果を推定する技法。
4. 単一因子の主効果だけではなく、多因子の交互作用(交絡因子)も考慮し、多元配置
分散分析も吟味。
5. 予測技法として、等間隔直交多項式の多様も有効。
6. 代表値に加えて変動の効用に着目し、拡幅深耕を重視した検討に注目。
各技法について若干の演習も予定。「百尺竿頭に一歩を進める」ことで、急速に問題解決の
視野が開ける喜びを実感していただきたい。
※受講される方は電卓をご持参ください。
・チュートリアル(大阪2)
講師 :涌田 亮一(富士通)
タイトル:品質管理と実践のノウハウ ~品質管理を根付かせるためのひと工夫~
概要 :ソフトウェア開発における品質管理について、各種の素晴らしい手法が存在するにもかかわ
らず、実際に現場に適用しようとすると、教科書通りにはいかないことが多い。このチュー
トリアルでは、品質管理に関する基本的な知識(品質管理ノウハウ)を整理し直し、再確認
していただくことと、実際の現場に適用するためのひと工夫 (実践ノウハウ)を学習します。
一方的に知識をお伝えするのではなく、ミニ演習を交えて、「自ら考え自ら気づく」ことを
目指しております。
1. 品質管理の基本をPDCAサイクルに沿っておさらいする。
2. 品質管理のポイントである計画/レビュー/テストの実践的技法を、実例を交えて学習し、
気付きを得る。
3. 品質とリスクの可視化の重要性と技法を、実例を交えて学習し気付きを得る。
4. 品質管理を現場に浸透させるための「ひと工夫」を自ら考え自ら気づきを得る。
【セミナースタッフ】
実行委員長
小笠原 秀人(東芝)
実行委員
井之内 博夫(オムロンソフトウェア)
今井 眞紀(ニコンシステム)
岩見 好博(特別会員)
臼杵 誠(富士通)
小嶋 勉(SRA)
小室 睦(日立ソフト)
林 章浩(日本IBM)
陸野 礼子(パナソニックAVCテクノロジー)
事務局
林 好一、石川 晶子(SRA-KTL)