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 ◆ JASPIC メルマガ 2020年12月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム  2020年12月
 3. コラム:佐藤 慎一(NTTデータ)
           「プロジェクトマネジメントにおけるコンピテンス標準の
             紹介」
 4. SPI Japan 2020を無事に終えて~実行委員長からの挨拶~
 5. SPI Japan 2021のご案内
 6. 会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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JASPICの新年度は12月から開始となります。今年度は下記のイベント
を予定しております。

●JASPIC例会(JASPIC会員限定です)
  実施日時:2/19(金)、4/13(火)、 7/8(木)、11/9(火)、12/8(水)

●JASPIC合宿(JASPIC会員限定です)
  開催日程:6月予定

●SPIトワイライトフォーラム
  開催時期:年4回程度予定(日時未定)関西開催を含む

●SPI Japan 2021(新潟県新潟市 朱鷺メッセ)
  開催日程:10/6(水)~8(金)
 ※COVID-19などの状況によってオンライン開催なども検討します。

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 ◆2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム  2020年12月
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日本SPIコンソーシアム(JASPIC)では、ソフトウェアプロセス改善(SP
I:Software Process Improvement)をテーマに、いろいろな視点/観点
から議論できる場として、トワイライトフォーラムを定期的に開催し
ています。

今回は、SPI Japan 2020 で好評を頂いた「アジャイルトーク」セッ
ションをINPUTとし、アジャイル開発について様々な観点から参加者同
士で議論しました。具体的には、1.人材育成、2.プロセス、3.組織的
支援、の3つの観点において、それぞれ他分野の知見と掛け合わせるこ
とにより、議論のネタを提供しました。賛成・反対意見も含めた議論
を通じて、参加者の方々がアジャイル開発を考え、次の一歩を踏み出
すヒントが得られることを狙いとしました。

JASPIC内外から30名以上の参加がありました。3つの観点による計3回
のグループ議論、そして終盤の全体での討議も盛り上がりました。参
加した方々から以下の感想をいただきました。

・他の分野の知見を持ってくるというお話がとてもよかった。SECIモ
デルの連結化だと思った。
・インプットトークの内容が示唆に富んでいて、グループ討議で疑問
や賛同や体験などを共有できた。
・アジャイル=人材・組織の成長を促す仕組みだと思った。
・本日のディスカッションでアジャイルを適用推進するための、ヒン
トが得られたように思う。
・最初の型の話から始まり、それを基点にバネの話、組織的支援の話
を議論できて面白かった。
・アジャイルは目的をもってその本質を共感しながらチームビルディ
ングしていくことが大切と思った。
・本日の内容でアジャイルの考えがよく分かった、プロセス改善と通
じるところあり。
・アジャイルは、組織を伸ばすもの、という気付きがあった。

トワイライトフォーラムでは、スピーカも加わって皆で議論をして、
参加者それぞれに気づきや知見が得られることを大切にしています。
アンケート結果でも良い評価をいただきましたので、今回も良い時間
を提供できたと思います。

アジャイル開発は新しい考え方なので、議論をして新しい知見をたく
さん生み出すことが大切だと思います。今後のテーマ希望でもアジャ
イル開発が挙がっていましたので、これからもアジャイル開発につい
てディスカッションする会を企画したいと思います。

和田 憲明(JASPICアジャイル分科会)

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トワイライトフォーラムでは、JASPIC発信、参加者ニーズ、トレンド
の三つの観点からテーマ選定を行っています。取り上げてほしいテー
マ等ございましたら文末のお問い合わせ先までご連絡ください。
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 ◆3. コラム:「プロジェクトマネジメントにおけるコンピテンス標
                準の紹介」
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今回コラムを担当させていただくNTTデータの佐藤と申します。

私は現在社内の品質マネジメントシステム運営や、プロジェクトマネ
ージャ育成、システムの安定運用に向けた施策の企画立案実施等を主
に行っており、直接プロセス改善を実施する機会はあまりないのです
が、私の所掌の中から関連する話題を提供をしたいと思います。

最近、プロジェクトマネジメントに関する国際的な団体IPMA
(International Project Management Association)が認定しているプ
ロジェクトマネージャ資格の試験(トライアル)を受験する機会があり
ました。

IPMAは、1965年に設立された世界最初の国際PM関連の団体で、MA
(Member Association)が世界72か国にあるとのことです。
日本では、プロジェクトマネジメント学会がMAとなっています。

日本では従来よりPMI(Project Management Institute)が作成している
PMBOK Guideや、それをベースとした資格であるPMP(Project 
Management Professional)の方が普及していますが、IPMAも、PMBOK 
Guideのような、ICB(Individual Competence Baseline)というプロ
ジェクトマネージャに求められるコンピテンスの標準を発行していま
す。ICBは、書籍版は有償(US$35)ですが、電子版は無料で入手できま
す。(オンラインショップサイトに普通にアクセスすると、まず有償版
がリコメンド表示されるので注意が必要です。なお、プロジェクトマ
ネジメント学会員には、年度内には日本語版が無償で配布される予定
とのことです。)

https://shop.ipma.world/shop/ipma-standards/e-books-ipma-standards/
individual-competence-baseline-for-project-management-ebook/

ICBでは、3つの領域(Perspective,People,Practice)に分けて、プロ
ジェクトマネージャに必要な合計28のコンピテンスを定義しています。
PMBOK Guide第6版はISO21500:2012を参照するように10の知識エリアを
示しています。ICBの28のコンピテンスはこれに相当するものといえま
す。(まもなくリリースされる予定のPMBOK Guide第7版では大幅に構成
が変わるようです。)

個人的には、PMBOKはプロジェクトマネジメントのテクニカルな側面を
主に扱っているのに対して、ICBは「戦略」「ガバナンス」「文化」と
いった組織的な概念や、「内省(Self-Reflection)」、「誠実さ
(Personal integrity)」、「機知に富む(Resourcefulness)」などの人
間的な概念が明確に記載されている印象があります。

IPMAの資格認定プログラムはレベルA~Dに分かれています。(Aが最も
高い難易度)
レベルA,Bには、プロジェクトだけでなくプログラム、ポートフォリオ
のマネージャー向けの資格もあります。詳細は以下に書かれています。
https://www.ipma.world/individuals/certification/certification-process/

試験内容や実施形態はレベルによって異なります。私が今回受験した
試験では、筆記試験と自身のプロジェクトマネジメントの実績レポー
トの提出、さらに面接試験がありました。筆記試験は自由記述式で、
仮想のプロジェクトケースに対し、ICBのコンピテンスと照らしてプロ
ジェクトマネージャとしての心構えや対処方法を問う問題が中心でし
た。ICB(印刷したもの)は持込可です。つまり、ICBの内容を覚えてい
るかではなく、それを理解したうえで適切に実践できるかの評価に重
点を置いているようです。
PMPがPMBOK Guide持込不可で選択式の試験であるのとは大きく異なり
ます。IPMAのサイトにも以下のコラムがあり、「PMPは単に知識の有無
しか評価していない」といいたいようです。
https://www.ipma.world/true-value-of-certification/

前述の通り、日本ではプロジェクトマネジメント学会がIPMAのMAと
なっており、本資格の展開に向けて準備中です。
日本ではPMBOKが広く普及しており、ICBについて知っている人は少な
いと思いましたので、今回紹介しました。
PMBOKとは異なる視点から、プロジェクトマネージャのスキルアップや
マネジメントプロセスの改善を検討する際に参考になると思いますの
で、興味のある方は、ICBの内容を参照したり、あるいは資格取得に
チャレンジしてみてはいかがでしょうか。
https://spm.or.jp/news/detail.php?id=154

佐藤 慎一(NTTデータ)

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本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します!
 ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有
   してみませんか?~

執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】
【氏名】を以下の宛先まで送付ください。
※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が
  ありますことをご了承ください。

 ◆執筆要領
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  ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK)
  ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載
    されていないもの
  ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能

 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆4. SPI Japan 2020を無事に終えて~実行委員長からの挨拶~
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10月14日からの三日間、SPI Japan 2020 ソフトウェアプロセス改善
カンファレンスを開催しました。

今回は Zoom 利用によるオンライン開催で、プログラムは従来通りに
募集した一般発表、基調講演、ミニ講演+パネル討論としました。
参加者が共同で作業するワークショップや隣り合った人と話す意見交
換会は、運営が困難と判断して見送りました。

白坂成功氏による基調講演では、物事を一段高い抽象度で捉え、各要
素がどのように相互作用するのかを見据えて事を成すことの重要性に
気づかされました。一般発表では、いつもの通りプロセス改善の現場
からの様々な視点での事例を見ることができました。最終日には内平
直志、小笠原秀人、端山毅、和田憲明各氏によるこれからのエンジニ
ア像が示され、その後に参加者からの質問を基にパネル形式で講演者
からさらに考えを披露していただきました。

アンケート結果を見ると、概ねどのセッションに対しても回答者から
高評価が得られており、ほっと胸をなでおろしました。

胸をなでおろしたのは、高評価をいただけたからだけではありません。
現場が本当に大変だったにも関わらず無事終えることができたからで
す。

開催のためのプログラム委員会が組織されたのは、コロナ禍が世間を
襲う前でした。そのため、委員は当初予定の沼津での開催のつもりで
いました。ところが、オンライン開催を採らざるを得なくなり、これ
までの多くのノウハウが使えず、新たな方法を編み出さなくてはなら
なかったのです。会場運営はもちろん、発表者にお願いする事柄や、
講演等の企画の在り方自体も、ほぼゼロから整理しました。

プログラム委員会の枠を越えてJASPIC全体で頻繁なリスク分析を行な
いました。しかし当日を含め想定外の事象が発生し、逐次対応を検討
しなくてはなりませんでした。

上に「無事」と書きましたが、大きな事故なく終えることができたの
は、講演者、発表者、参加者の方々のご協力、スタッフの頑張りのお
蔭です。この場を借りてお礼を申しあげます。

原稿執筆時点で、かのウイルスの勢いは収まっていません。来年のカ
ンファレンスはどうなるのか、まだ見通しが立っていませんが、充実
したプログラムになることは間違いありません。
来年もご参加をお待ちしております!

SPI Japan 2020 実行委員長 林 好一

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 ◆5. SPI Japan 2021 のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2021)の開催日と開催場所
が決まりました。

  ■日程:2021年10月6日(水)~8日(金)
  ■場所:朱鷺メッセ(新潟県新潟市)
          https://www.tokimesse.com/
     ※COVID-19などの状況によってオンライン開催なども検討
     します。

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス
カッションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。

http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2021/

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 ◆6. 会員募集
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JASPICは、現在、15社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会について
    http://www.jaspic.org/organization/join_us/
  ■会員と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。

早いもので今年ももうすぐ終わりですね。
1年前にはコロナが蔓延し、オリンピックが延期されるとは思ってもい
ませんでした。
テレワーク中心の日々が続き、在宅での生活を充実させようと様々な
ものを購入された方も多いと思います。皆様の今年のヒット商品は何
だったでしょうか。

私の今年一番のヒットはコタツです。以前から検討していたものの夏
の間の保管が気になり購入をためらっていましたが、在宅勤務が伸び
るにつれて冬の快適さへの誘惑に負けてついに10月中旬に某インテリ
ア大手で購入しました。

予想通り、来たその日から完全にコタツ中心の生活に移ってしまいま
した。休日はコタツでぬくぬくテレビや映画を見たり、フードやスイ
ーツを楽しんだりはもちろんのこと、平日には時々テレワークをした
り、オンラインでの会議などもこなしています。

快適すぎて行動半径が狭くなりますます運動不足に悩む今日この頃で
す。保管場所は春が来たら考えます。

今年も一年メルマガにお付き合いくださりありがとうございました。
1日も早いコロナの収束と皆様の日常が戻ることを切に願っています。
素敵な年末年始をお過ごしくださいね。
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 JASPIC メルマガ 2020年12月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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