━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2014年4月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. 分科会の紹介:ソフトウェアプロセス改善知識網分科会 3. コラム:小笠原 秀人(東芝) 「ソフトウェアプロセス改善手法SaPID入門」の紹介 4. SPI Japan 2014 のご案内 5. 会員募集 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── これから開催するイベント情報についてご案内します。 ●JASPICトワイライトフォーラム テーマ:アジャイル開発における品質保証部門によるシステムテスト のアプローチ ~ アジャイルチームに寄り添う品質保証部門の考え方 ~ 発表者:永田 敦(ソニー株式会社) 主 催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC) 日 時:2014年4月25日(金) 18:30-20:30 場 所:株式会社日立ソリューションズ 本社別館 JR品川イーストビル(JR品川駅隣接) http://www.jaspic.org/modules/event/index.php?content_id=37 ●JASPIC合宿(JASPIC会員限定) 日 時:2014年5月30日(金)13:00 ~2014年5月31日(土)15:00 場 所:ホテルピアザびわ湖 http://www.hotelpiazza.com/ 内 容:1.参加者が分科会活動を体験するオープン分科会 :2.基調講演(大阪大学 古崎準教授) など ─────────────────────────────── ◆2. 分科会の紹介 ─────────────────────────────── JASPICでは、あるテーマに対して興味を持つメンバが集まり、一年間 にわたって議論する場として11の分科会が活動しています。その中か ら今回は、ソフトウェアプロセス改善知識網分科会をご紹介します。 ●ソフトウェアプロセス改善知識網分科会 【背景】 当分科会は、プロセス改善の進め方に関する知識を対象として、知識 の収集、整理、分析、再利用、体系化等を目指して活動しています。 元々は、知識体系=Body Of Knowledgeを一気に作り上げる構想だっ たのですが「そもそもプロセス改善の領域の境界はどこ?」という疑 問にぶつかりました。そのため、定義に拘るよりは知識の収集や再利 用による実利を優先するとの考えから、境界に拘らずに関連する知識 を辿って先ずは集める方針を立て、知識網=Web Of Knowledgeという 言葉を選びました。 有識者の頭の中にある暗黙知を見つけて形式知化し、ウェブ上を検索 して必要な知識に辿り着くイメージとも重なるため、気に入っていま す。私たちの活動を通じて「知識網」という言葉を世界に広め、ゆく ゆくは知識網の中での関わりの深さから情報距離を求めてプロセス改 善のコアとなる領域を定めることで、体系化にも繋げられると言う野 望?も持っています。 【活動内容】 プロセス改善において必要とされる知識の構造や関係性、コアとなる 部分やその広がりを調査研究することで、プロセス改善や知識に関す る理解を深め、あわせて、必要な知識の収集と活用のしくみを構築す ることを目指しています。 当初は、知識網に結びつくデータ構造の検討から始まり、プロセス改 善知識を含む身近な情報源として、JASPICが開催している「ソフトウ ェアプロセス改善カンファレンス SPI Japan」の発表内容を対象とし て調査を進めたところ、再利用できるプロセス改善の知識を抽出する ことが難しいことに気づきました。 そこで、知識を抽出して再利用し易くする目的で、SPI Japanの応募 シートに書かれる概要を7つのステップに項目分けすることにより、 含まれている知識を判断し易くする活動を行っています。 これは昨秋の「SPI Japan 2013」から正式な応募方法に採用され、当 分科会で現在、その成果を分析しているところです。 分析結果は、今年5月に和歌山で開催される情報知識学会年次大会で 発表すると共に、今年の「SPI Japan 2014」の応募方法改善にも活か される予定になっています。 また、改善活動の知識を7つのステップに項目分けするだけでなく、 今後の整理、分析、再利用を睨んで、知識の記述方法を洗練させる目 的で、オントロジー工学の勉強も始めています。 【活動形態】 分科会メンバーが平日に集まることは難しいため、1~2ヶ月に1回開 催される会合は、主に土曜日が多いです。また、金土を使って年に2 回程度実施する合宿では、最低1回は遠隔地で開催することが暗黙の ルールとなっています。遠征先では議論だけでなく観光もしっかりと 済ませるなど、集中と息抜きをうまく組み合わせて、楽しく分科会の 活動を行っています。また、良いアイデアを産み出すためには、無駄 話や駄洒落も必要との信念?のもと、冗談を言い合いながら和気藹々 と議論を進めています。 【成果物】 プロセス改善知識に関するメンバー間での議論内容や、皆の理解内容 の図解など、過去の活動成果物の多くは未だJASPIC内部での公開に止 まっていますが、今後、学会発表など、積極的に情報を発信していく 予定です。ご期待ください。 ─────────────────────────────── ◆3. コラム:「ソフトウェアプロセス改善手法SaPID入門」の紹介 ─────────────────────────────── このメルマガを受け取っている方々の中には、日科技連出版社から、 今年の1月に出版された「ソフトウェアプロセス改善手法SaPID入門」 を購入した方もいると思います。この図書の著者である安達さんには、 ソフトウェアプロセス改善カンファレンス(SPI Japan)やSPIトワイラ イトフォーラムで発表をしてもらっています。SPI Japan 2012 では、 見事に、最優秀賞を受賞しています。 今回、この図書の「推薦のことば」を書かせていただきましたので、 本コラムで紹介させていただきます。 『ソフトウェアプロセス改善手法SaPID入門』推薦のことば 私の学生時代、恩師である菅野文友先生から、ソフトウェア製品を 生産するためには、“「ABC」の徹底”が大切である、と言われ続け ました。ABCとは、「(A)当たり前のことを、(B)ぼんやりせずに、 (C)ちゃんとやる」のことです。しかしながら、人によって、状況に よって、「当たり前」も変わってきます。そして、人間誰しも「ぼん やり」することがあります。さらに、「ちゃんと」実行し終えたか否 かの確認は、必ずしも容易ではありません。つまり、「当たり前のこ とを、ぼんやりせずに、ちゃんとやる」のは、意外に難しいのです。 また、プロセス改善の基本を説明する時によく使われる言葉に、 “不満足な状況が発生したら確実に解消”、“小さな改善の積み重ね により大きな進歩”、“問題の真の姿は当事者が一番よく知っている”、 “現場の開発者の問題意識・改善意識”、“自分の仕事と製品・ サービスの質との間の関係の理解”、などがあります。言っているこ とは分かりますし、確かにそのとおりだと思います。しかし、具体的 にどのように実施すればよいのか、その道筋とステップを示した図書 はあるようでないと思います。 本書で具体的に説明されている手法SaPID(さぴっど、と呼びます) に初めて出会ったのは、SPI Japan 2012 の自律改善というセッション でした。その発表を聞いて、SaPIDは、上述した“「ABC」を徹底する” ための仕組みに利用でき、“プロセス改善の基本”を実践するための 方法を与えてくれるものだと感じました。参加者の方々からの評判も 格段に良く、見事に、最優秀賞を受賞しました。表彰理由の一つに、 「これまでの改善(煙たがられ面倒がられる改善)の問題点を分析し、 それぞれに対する対策を考えた上で、改善のためのプロセスを見出し ていることに、論理的で納得性がある」という説明が挙げられていま した。 SaPIDの実践において問題構造図が多くの場面で登場します。問題 構造図は、原因と結果を矢印で繋ぎ、プロジェクトや組織で抱えてい る問題の全体像を表しています。図書の中に現れる問題構造図には、 図の右上に次の説明が入っています。 「[原因]→[結果]原因が存在すると結果になりやすい」 このさりげない説明が、問題構造図をより一層読みやすくしています。 この工夫は秀逸です。常に因果関係を意識して問題を構造化してくだ さい、という著者からのメッセージだと思いました。 本書では、問題の洗い出し(問題構造図の作成)と改善計画の立案 から始まり、改善の実施、評価とふりかえりに至るまでの具体的で実 践的な方法が示されています。昨今、開発環境やビジネス速度の変化 に対応するために、さまざまな手法やツールを利用する場面が増えて きました。しかし、それらの手法やツールは決して銀の弾丸ではあり ません。プロジェクトを成功させ、改善できる組織を作り上げるため には、プロセス改善の目的を関係者全員で共有し、カイゼンを繰り返 していくしかありません。プロセス改善を成功させるために、この本 を手に取り、最初の一歩を踏み出しましょう! 小笠原 秀人(東芝) ・SPI Japan 2012 の発表資料: http://www.jaspic.org/event/2012/SPIJapan/session3A/3A4_ID023.pdf ・第5回 SPIトワイライトフォーラム(2013/5/23)の発表資料: http://www.jaspic.org/modules/event/index.php?content_id=31 ・図書の紹介 http://www.juse-p.co.jp/ ─────────────────────────────── ◆4. SPI Japan 2014 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2014)の開催日と開催場所 が決まりました。 ■日程:2014年10月15日(水)~17日(金) ■場所:プラサヴェルデ(静岡県沼津市) http://www.plazaverde.jp/ 今までの活動成果や失敗から得た知見、現在進めている活動で紹介・ 議論したい内容などがあれば、奮ってご応募ください。発表募集開始 は4月下旬、発表募集締め切りは5月末の予定です。 ─────────────────────────────── ◆5. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、19社によって構成されています。SPIの技術や活動の 進め方を学びたい、議論したいという法人会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会について http://www.jaspic.org/modules/profile/index.php?content_id=5 ■会員企業と運営体制 http://www.jaspic.org/modules/profile/index.php?content_id=10 ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 4月は会社では新年度、学校では新学期が始まり、色々なところで初々 しい姿を見かける機会が多くなりました。また食べ物も春に旬を迎え る食材も増えてきましたよね。私はよくフルーツ狩りに行くのですが、 今の時期はイチゴ狩りやタケノコ狩り(掘り)などが人気があるそう です。先日私が行ったイチゴ狩り農家は今まで主流だった土耕栽培で はなく高設栽培(腰ぐらい位置に棚がズラッと並んでいて、そこにイ チゴが栽培されている)でした。高設栽培では、イチゴが宙に浮いて いる状態なので衛生的であり、また腰を曲げずにイチゴが収穫できる ともあって老若男女、幅広い世代の方が多く来ていました。最近では 高設栽培の農家の方が増えてきているようです。農家の方も日々試行 錯誤して、農法を改良・進化させているのだなぁと感心しました。 5月以降はビワ狩り、さくらんぼ狩りなどのシーズンになります。 みなさんも是非、GWに○○狩りに出かけてみてはいかがでしょうか。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2014年4月号 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━