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 ◆ JASPIC メルマガ 2022年4月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. 分科会の紹介:コア・コンピテント・チーム研究会
 3. イベント実施報告:アジャイルジャパンサテライト
 4. コラム:JASPIC研究員 N
           「SPI活動でのモヤモヤ感」
 5. SPI Japan 2022 発表募集のご案内
 6.会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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●JASPIC合宿(JASPIC会員限定です)
  日  時:2022年6月24日(金)
  場  所:オンライン開催
  内  容:1. 基調講演(JASPICアドバイザ/東京都市大学教授 岡田様)
        :2. オープン分科会(SPI人生ゲーム、ソシオドラマ進化版)
        :3. 意見交換会

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 ◆2. 分科会の紹介:コア・コンピテント・チーム研究会
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JASPICでは、あるテーマに対して興味を持つメンバが集まり、一年間
にわたって議論する場として今年度は13の分科会が活動しています。
その中から今回はコア・コンピテント・チーム研究会の紹介をさせて
いただきます。

【設立】
コア・コンピテント・チーム研究会(SIG-CCT)は、2003年に活動を始め
た、歴史ある分科会です。
「標準に従うだけでなくコンピテンシーのある自立した開発者や、チ
ームとはどのようなものなのか。どのように育てればよいのか」の問
題認識を持ち、PSP/TSPの研究を始めたことが最初です。

今は、ソフトウェアへの期待が広がるにつれ、組織やプロセスに関す
る技術や知見が深まり、スクラムに代表されるような自律したチーム
が求められています。
SIG-CCTは20年近く前からこの領域の問題に対し、PSP/TSPに関連する
資料の翻訳や紹介をはじめとして、ソフトウェア欠陥予防や
Reflections on Managementの輪読、チームアセスメント表の提案など、
様々な角度からアプローチしてきました。ここ数年は、パーソナルプ
ロジェクトマネジメント、アクティブラーニング、エンジニアリング
組織論などを題材に、議論と意見交換を進めています。
2020年度からは、PSPのモダナイズ(開発のプラクティスを近代的なも
のにする)や、CoP(大きな枠組みで知見を共有し学習する実践共同体)
の研究に取り組んでいます。

【運営】
概ね月に一度、輪読やメンバが持ち寄るトピックに基づき、3時間程度
のディスカッションをします。10名弱の小所帯ですが、大きな声では
言えない(~~小さな声では聞こえない~~)ことも、本音で語り合い
ます。

【魅力】
答えはありませんが、課題を持ち寄り、意見を寄せ合うことから、光
や解決策が生まれます。こんな方にお勧めです。
・ソフトウエアの開発チームを育成するための有効な社内教育が見つ
 からず困っている方
・コミュニティが盛り上がらず苦労している方
・組織やプロセスといった外枠からの改善に限界を感じている方

とにかく聞いてほしい、と思っている人も大歓迎です。
コアコンピテンシーのある自立した人材を目指して、一緒に学びま
しょう。

英語略語について
PSP: Personal Software Process
TSP: Team Software Process
CoP: Community of Practice

SIG-CCT一同より

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 ◆3. イベント実施報告:アジャイルジャパンサテライト
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JASPICはアジャイルジャパンの後援をしていることもあり、会員向け
にサテライトを開催しています。今年はこれまで1月と3月の計2回開催
しました。どちらもJASPIC会員企業内に広く声をかけ、多くの方に参
加をいただきました。

JASPICでのアジャイルジャパンサテライトの進め方ですが、動画の上
映の後に、各自が事例から学んだこと、質問事項、自分たちの組織で
実践することを想定しての課題やチャレンジを洗い出していきます。
その後、事例の発表者や実践者(各回2名)をお呼びして、1時間ほどの
議論を行っているところが大きな特徴です。

1月は、「営業出身プロダクトオーナーが挑むグローバル社会価値創造
型ビジネスへのアジャイル適用」のテーマで開催しました。プロダク
トオーナーの視点での熱意あるご発表に加えて、実際に進める上での
経験者からの意見をいただける絶好の機会となりました。

3月は、「大企業のアジャイル導入で本質的に変えるべきこと」をテー
マに、事例の実践者との直接対話を通じて質疑応答や意見交換ができ
る貴重な機会となりました。

どちらの会も単純な質疑だけでなく、教訓や課題についての深い議論
で大変盛り上がりました。
発表者の方からも、質問が多く出て嬉しかったとの感想もいただいて
います。

次回は、5月にサテライトを開催する予定です。

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 ◆4. コラム:「SPI活動でのモヤモヤ感」
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SPI活動に携わるようになってもう15年以上過ぎてしまいましたが、モ
ヤモヤがいっぱいあり過ぎて、気持ちが晴れることがありません。今
日はいくつか私のモヤモヤをみなさんに投げかけてみます。

<プロセスよりもアーキテクチャ>
組織プロセスの説明で、個々のプロセスの説明にタートル図を使うの
は一般的だと思いますが、いくつものタートル図を参照しながらプロ
ジェクトのプロセス全体像をPFD(プロセス・フロー・ダイヤグラム)
で書こうとするとインプットとアウトプットが整合しないということ
が起こったりしませんか? だとしたら、その組織プロセスそのもの
かプロジェクトプロセスへのテーラリング活動のどちらか欠陥がある
ということです。これってシステムやソフトウェアにおいてアーキテ
クチャ(方式設計)と詳細設計が整合していないことと同じですよね。
プロジェクトのプロセス全体像をPFDで描き切る(私はこれを業務アー
キテクチャの確立と呼びたい)能力と、システムやソフトウェアの
アーキテクチャを確立する能力は、その根底にあるものは同じではな
いかと思います。
優秀なシステムやソフトウェアのアーキテクトは、おそらくプロジェ
クトの業務アーキテクチャもきちんと書けるはずです。自分達が現に
実施している業務なのですから。さらに言えば、それぞれのプロジェ
クトが独自に業務アーキテクチャを確立する能力があるならば、組織
の標準プロセスなんて不要だということになってしまいます。そうな
らずにSPI活動が価値を生むためには、われわれSPI担当者が開発現場
を上回る業務アーキテクチャ確立能力を持たなければならないという
ことなのかもしれません。
こういう思いが強いのは、私が開発者あがりのSPI担当者だからかもし
れません。モヤモヤです。

<アジャイルへの懐疑(その1)>
大規模アジャイルって本当にアジャイルと言えるんでしょうか?
アジャイルソフトウェア開発宣言に「契約交渉よりも顧客との協調
を」と書かれているわけですが、階層構造の開発体制の現場に、「顧
客との協調」なんてあるとは思えません。
agileを辞書で引くと「身軽な、敏捷な」と書いてありますが、階層構
造の開発体制と「身軽・敏捷」という言葉は、私にはイメージが重な
りません。
私はアジャイルの本質は、「エンドユーザーからの早いフィードバッ
クによってより良いものに近づいていくこと」と「目標達成の経験を
積み重ねることによる開発チームのモチベーション・アップ」にある
と思っているので、なんか違うなあと思ってしまいます。
私には、大規模アジャイルは「当社もDXを推進するために情報システ
ムを刷新しました」と同じ香りがします。
この段落は、反論が多数ありそうなことは覚悟の上ですが、やはりモ
ヤモヤです。

<アジャイルへの懐疑(その2)>
アジャイル開発において、開発対象のアーキテクチャがどのように確
立していくのか、さっぱりイメージできません。そのためにマイクロ
サービスアーキテクチャを採用するんだとか、理屈があることは知識
としてはあるのですが、腹落ちしません。優秀なアーキテクトが最初
に決めてしまう、というのが実態だとしか思えません。モヤモヤです。
もちろん、アーキテクチャが確立したあとの機能追加やUI/UX改善のた
めの開発をアジャイルで行うべきだということは100%納得できます。

<数値化の正当性>
例えばある組織では「レビュー欠陥検出密度(件/ステップ数)」とい
う指標をウオッチすることなっていると仮定します。これに対して、
よく考えてみるといろいろと疑問が湧いて来ます。この指標を使う目
的は、品質確保のためのレビューが適切に行われているかを判断した
いということなんだと思われます。
・分母がステップ数ということは、コーディング完了後にしか数値を
 算出できないということだけど、それじゃ仕様書や設計書のレ
 ビューに対して意味があるのか? 管理(というか監視と制御)の
 指標としては使えないし。。。
・レビュー対象物の初期完成度が低ければ数値は上がるがこれは品質
 低下要因、レビューアの能力が高ければ数値は上がるがこれは品質
 向上要因、となるとこの数値で何がわかるの?
・レビューの指摘内容には重い軽いがあるはずだけど、それを無視し
 て単純に件数だけを数えて何がわかるの?
上記の例は単純化し過ぎかもしれませんが、数値でこれから実施しよ
うとしている活動の期待成果を説明したり、なんらかの数値の良化を
それが自分達の活動の成果だと示そうとするとき、ほとんどの場合に、
私は後ろめたさを払拭することができません。モヤモヤです。

最後まで読んでいただきありがとうございます。底が浅い、低レベル
の話だったと思いますが、私の本音であり、個人的な意見の表明です。
異論反論、私個人への教育的指導、大歓迎です。
みなさんからのコメントで私のモヤモヤがどう変化したのかを、また
の機会に報告したいと思います。

JASPIC研究員 N

Nさんへのご意見等は、末尾のお問い合わせ先までご連絡ください。

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本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します!
 ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有
   してみませんか?~

執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】
【氏名】を以下の宛先まで送付ください。
※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が
  ありますことをご了承ください。

 ◆執筆要領
  ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安
  ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK)
  ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載
    されていないもの
  ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能

 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆5. SPI Japan 2022 発表募集のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2022)の発表募集を開始しま
した!

  ■日程:2022年10月5日(水)~7日(金)
  ■場所:オンライン開催

SPI Japan 2022のテーマは、 
「つづける」 ~カイゼンへの情熱を胸に未来へ踏み出そう!~
です。

ソフトウェアプロセス改善カンファレンスは、今年で通算20回目の開
催となり、みなさまと共に長年歩みつづけてきました。
これまで発表された多くの事例紹介から、ヒントや気付きを得て(学
びつづけて)個々の現場の改善活動で活用し、またその成果をSPI Ja
panの発表で次に繋げる良い循環がつづいているものと考えています。
  
何かを成し遂げるには情熱が必要です。そしてその情熱を胸に活動を
つづけることで、やがて想いが周囲に伝搬し、仲間と活動のベクトル
が重なって大きな改善の力が生まれていると思います。
しかしながら近年、新技術や新様式(ニューノーマル)、不安定な世
界情勢などで急激に変化する環境に合わせて変わりつづけることを求
められる状況にあり、プロセス改善に携わる私達は、悩み、苦しみ、
自信や情熱を失いそうになることがあります。

このような時代だからこそ、あらためてプロセス改善に携わる仲間同
士の繋がりを大事にし、みなさまの知識と経験を共有することで、未
来に向けて改善に挑み「つづける」きっかけの場、情熱を取り戻す場
になると信じてテーマ設定しました。

SPI Japanは、関係するすべての方々が(発表者、参加者、そして運営
スタッフも)お互いを理解し、高め合うことができる場所です。
発表されるみなさまの取り組み内容(想いや情熱も含めて)は、その
場を共有した一人一人の改善活動と繋がり、改善を「つづける」力に
なることを期待しています。

当カンファレンスでは、みなさまの発表を心よりお待ちしております。 
締め切りは2022年5月27日(金) を予定しています。また、今年は早期
応募割引期間内に応募された場合、参加費用をさらに割引く早期応募
割引も適用させていただきます。こちらの締め切りは2022年5月13日
(金)となります。

詳しくは、SPI Japan 2022のホームページをご覧ください。 

http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2022/

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 ◆6. 会員募集
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JASPICは、現在、16社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員、分科会会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会のご案内
    http://www.jaspic.org/basicDocuments/Brochure.pdf
  ■会員企業と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

入会を希望される方はお気軽にJASPIC事務局にお問い合わせをお願い
いたします。

JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
テレワークと寒さのため、なかなか外に出る機会がなく、いつの間に
か桜も散ってしまいましたが、久しぶりに庭に目を向けると昨年植え
たミニチューリップがきれいに咲いていました。ほったらかしでも綺
麗に咲いてくれる多年草は、めんどくさがりの私には良かったです。
綺麗なミニチューリップの周りには、大量の雑草が・・・ということ
でミニチューリップに申し訳ないので、重い腰を上げて雑草を取るこ
とに。ただ、時期的にもまだ涼しく、無心になれるので、結果的に良
い息抜きになりました。
雑草をとっていると意外に花を咲かせる雑草が多いなと思い、なんと
なく取るのが勿体ないと思ってしまいました。一番多かったのが、
ナガミヒナゲシという種類の植物で、オレンジの花が綺麗でした。
あとは、オオイヌノフグリという青い花を咲かせる雑草もあり、申し
訳なく思いながら抜きました。全部取り終えた後に、そういえば去年
チリアヤメも植えたなと思いだし、一緒に抜いてしまったのか、咲か
なかったのか謎なままとなりました。。。
これから梅雨の時期になり、せっかくとった雑草もまたすぐに生えて
来ますが、綺麗な花が咲く雑草なら、そんなに悪くないかなと思って
います。

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 JASPIC メルマガ 2022年4月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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