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 ◆ JASPIC メルマガ 2021年4月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. 分科会の紹介:SPI推進課題分科会
 3. コラム:細谷 泰夫 (三菱電機)
           「リモートワークでのチーム運営の工夫」
 4. SPI Japan 2021 発表募集のご案内
 5.会員募集
 

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 ◆1. これから開催するイベント
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●JASPIC合宿(JASPIC会員限定です)
  日  時:2021年6月11日(金)
  場  所:オンライン開催


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 ◆2. 分科会の紹介:SPI推進課題分科会
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JASPICでは、あるテーマに対して興味を持つメンバが集まり、一年間
にわたって議論する場として今年度は13の分科会が活動しています。
その中から今回はSPI推進課題分科会の紹介をさせていただきます。

●SPI推進課題分科会
  SPI推進課題分科会(略称:SmallSteps分科会)は、2004年度に「
チェンジマネジメント研究分科会」より名称変更して以来、活動を続
けているJASPICで最も長い歴史を持つ分科会のひとつで、現在5名の
研究員が在籍しています。

【活動の目的】

 「改善の現場で困っている人を支援する」を目的に、過去いろいろ
な活動を行ってきましたが、近年では、プロセス改善人材育成トレー
ニングをゲーミフィケーション理論を活用して楽しく行うためのワー
クショップの開発と試行を人材育成分科会と共同で行いました。今年
は、そこで収集した知見を基に、初級者向けのSPI人生ゲーム(仮称
)を開発すべく必要な活動を進めていく予定です。

【過去の研究】

  当初、SPI活動を推進する(=問題解決を行う)に当たっての課題
にどのように対処していくのがよいかを探求する目的で、以下の書籍
を輪読してディスカッションを行いました。
・ピーター・M・ゼンゲ:学習する組織「10の変革課題」
・ジョージ・ヤマムラ:10thイニング
・ジェラルド・M・ワインバーグ:ワインバーグのシステム思考法
その結果、日々の取り組みとしてすべきことをまとめ、実践する目的
で、Small Stepsと名付けた知見集を充実させることに活動の中心を
移しました。上記の本からのSmall Stepsの抽出と並行して、分科会
メンバの経験から得られた知見も加え、百件以上のSmall Stepsが集
まったため、これらを適用対象者との関係や適用タイミングで分類し、
いくつかを抽出して絵や解説をつけたりしました。さらに、これらを
実際に適用する場合の参考になるように、改善活動の背景を定め、
ストーリー仕立てで、本のように読める読み物を作ろうとしました。
この活動は、分科会メンバのキャラクターを模した登場人物やストー
リー展開などの構想を定めて書き始めたものの、完成には至らず、残
念ながら未完のままとなっています。

【現在の研究】

 ここ何年かは、プロセス改善人材の育成に効果的なトレーニングを
開発する目的で、人材育成分科会などと共同でプロセス改善人材育成
トレーニングをゲーミフィケーション理論を活用して楽しく行うため
のワークショップ開発と試行を行いました。従来のトレーニングには、
演習を実施しても参加者が受け身になりがちで今一つ効果が発揮しき
れないというイメージがあり、それを解決するための試みです。
そのため、遊びや競争など、人を楽しませて熱中させるゲームの要素
をゲーム以外の領域に持ち込み、参加者のモチベーションや効果を高
める取り組みとして知られていたゲーミフィケーション理論を活用し
ようと考えたわけです。このワークショップでは数チームに分かれて
与えられた現場シナリオを読み解き、課題を抽出して改善策を立案し、
それぞれのチームで出た結果を共有します。ゲームを活用し、偶然の
要素も取り入れ、チーム間で成果物の量と質を競うことで、より積極
的に楽しく、様々なケース・シナリオに適用できるプロセス改善担当
者のスキル育成を図るワークショップとして、JASPIC内の研究員合宿
の場を皮切りに、SPI Japan 2018と2019のトーク&納得セッションな
ど、過去3回実施しました。
実施して分かったことは、課題やリスクの抽出や改善策の立案にはあ
る程度の実践経験が必要なため、これは中級者向けのトレーニングで
あるということです。そこで今年度は、初級者向けのトレーニングを
開発したいと思っています。予め課題やリスク、対策のカードを用意
して、与えられたシチュエーションで適切なものを選ぶことで、ゴー
ルに近づけるサイコロを使ったボードゲームとして、SPI人生ゲーム
風のものが作れないかと考えています。この際に使用する、課題やリ
スク、対策のカードは、先のワークショップで収集したものや、過去
Small Stepsとして集めたものを活用する計画です。

【最後に】

 当分科会のメンバは、他の分科会にも参加している人たちで構成さ
れていてなかなか時間がとれず、2か月に1回程度の頻度で平日の夜に
Web会合を開くのが精一杯なので、どこまで進めることができるかは
正直未知数です。このコラムを読んで興味を持った方が参加していた
だけると、ありがたいです。
また、現在の新常態が改善され、昔のように週末に泊りがけで合宿が
できれば加速も期待できますので、いつになるかは分かりませんが、
その日が一日も早く到来することを期待して、筆を置きたいと思いま
す。ご精読ありがとうございました。


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 ◆3. コラム:「リモートワークでのチーム運営の工夫」
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三菱電機の細谷です。2020年4月に私は部内異動で隣のチームのマネー
ジャに変わりました。
チームメンバーは部内で顔は知ってて話をしたこともあるメンバーで
したが、一緒に仕事をしたことは多くありませんでした。
年度が始まってすぐに緊急事態宣言でリモートワークの日々になり、
今日に至ります。そんな中で実施してきたチームの運営方法やその中
で気づいたことを紹介します。

1.どんなチームになりたいかを共有する
4月になってすぐに実施したことは、チームのビジョンとコンセプトを
話し合うことです。4月の第1週はまだ出社をして集まっていたので匠
メソッド(*1)という手法を用いてワークショップ形式で、自分たちの
現状、チームとして誰にどういう価値を届けたいかなどをメンバー全
員で話し合い共有しました。このワークショップでは全員で模造紙と
付箋紙を使って実施しました。
このチームのメンバーは、自分たちでチームのビジョン・コンセプト
を考えるような活動は今までやったことがなかったということで、新
鮮な気持ちで参加してもらえました。

2.チーム全員で計画する
私の所属している組織は、社内コンサルのような部門であることもあっ
てか、案件と個々のメンバーの結びつきが非常に強く、チーム力をもっ
と向上させたいという思いが年度最初に実施したワークショップでも
出てきました。そこでチーム力向上の施策として、チーム全員で計画
をすることにしました。具体的にはOffice365のPlannerを用いて、案
件毎にタスクを優先順位で並べたリストを月曜日に全員で更新して各
案件で今週はどこまで実施するのか、困っていることなどを相談する
ようにしました。
タスクの粒度は大きくても週内で終わる程度にすることで、チームで
の共有と同時に仕事の段取り上手になるという目的もありました。1年
を通じて、チーム全員で計画することは当たり前の習慣として定着し
ています。

3.業務状況マップで全体感を共有する
チーム全員で計画を立てることで、誰が何をやっているかを何となく
把握することができるようになりましたが、それだけでは助け合いな
どチームで問題を解決していく力は十分に引き出されません。
そこで、チームの現状をビジュアルに表した業務状況マップを作成し
共有するようにしました。このマップには各案件やメンバーを象徴す
るイラストを戦略ゲームのようなHEXマップに配置しました。ちょっと
危なそうな案件は煙のイラストを付加したり、自身の気分を示すアイ
コンを付加するなどメンバー全員で自由に工夫をしながら、チーム全
体の状況を俯瞰できるマップにしていきました。
よくあるExcelの表だと自分の担当だけをフィルタリングして見てしま
いがちですが、チーム全体が俯瞰できるマップを全員で共有すること
で、うまくいっているところ、危ないところを直感的に共有できるよ
うになりました。

4.求人チャネル
業務状況マップから派生して出てきたのが求人チャネルです。
これは、Microsoft Teamsのチームのチャネルに求人チャネルを作成
し誰かに助けてほしいと投稿すると、他のメンバーが自分のできる範
囲で助けてくれるという仕組みです。
業務状況マップでの状況共有から求人チャネルへの投稿という流れに
よってチームメンバー間で助け合う雰囲気が出てきたと感じています。

5.デイリーレポート
メンバー全員が1日に1回、昨日やったこと、今日やること、困ってい
ることをTeamsのデイリーレポート専用チャネルに投稿するようにし
ました。スクラムのデイリースクラムで共有する内容と同じですが、
特に集まるわけではなく、好きな時間に投稿してもらっています。全
員が見れるチャネルに投稿することで、マネージャだけではなくメン
バー全員で緩く状況を共有する仕組みになっています。

6.原則リモート会議
チーム内では、出社しているメンバー同士も原則Teamsを用いて打ち合
わせをするようにしています。そうすることで、特に場所の違いを意
識せずにコミュニケーションが取れるようになっていると感じていま
す。

このような活動によってリモートでも特に不自由なく仕事ができるチー
ムになっていると感じていますが、偶発的な雑談が少なくなったなど
課題もあります。

今年度はさらに工夫をしてリモートでのチーム力向上にトライしたい
です。

*1 匠メソッド
http://www.takumi-businessplace.co.jp/takumi-method/

細谷 泰夫(三菱電機)


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本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します!
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執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】
【氏名】を以下の宛先まで送付ください。
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  ありますことをご了承ください。

 ◆執筆要領
  ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安
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    されていないもの
  ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能

 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆4. SPI Japan 2021 発表募集のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2021)の発表募集を開始しま
した!

  ■日程:2021年10月6日(水)~8日(金)
  ■場所:オンライン開催
     ※COVID-19などの状況によっては、会議場での同時開催
      も検討します。

今年のテーマは

「いかす」 ~新たな時代に“カイゼン”の力を~ 

です。 

コロナ禍の中で、ニューノーマルな社会に向けて、急激な変化が求め
られています。
様々なプロセスやシステムが変わる中で、みなさまが今まで培ってき
たSPIの経験、ノウハウを活かすことで変化への改革を牽引できると考
えています。 

SPI Japan 2021では、様々な「いかす」のきっかけとなる場を提供し
たいと考えています。 
・経験をいかす(役立てる):
   発表者の事例、経験を個々の活動に! 
・知識をいかす(駆使する):
   基調講演などの知識を実践に! 
・人との繋がりをいかす(利用する):
   ワークショップで参加者同士の出会いを! 

SPI Japanは、関係するすべての方々が(発表者、参加者、そして運営
スタッフも) お互いを理解し、高め合うことができる場所です。 
発表されるみなさまの取り組み内容は、その場を共有した一人一人が
「いかす」 きっかけとなり、周囲へ波及し、改革の牽引者となること
を期待しています。 

当カンファレンスでは、みなさまの発表を心よりお待ちしております。 
締め切りは2021年5月28日(金) を予定しています。
詳しくは、SPI Japan 2021のホームページをご覧ください。 

http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2021/

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 ◆5. 会員募集
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JASPICは、現在、15社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員、分科会会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会のご案内
    http://www.jaspic.org/basicDocuments/Brochure.pdf
  ■会員企業と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

入会を希望される方はお気軽にJASPIC事務局にお問い合わせをお願い
いたします。

JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
2020年4月号にも新型コロナウイルス感染拡大の話を書いてから、1年
経ってしまいました。ワクチン接種も始まりましたが、私達の世代が
受けることができるのはもう少し先になりそうです。もうしばらくは
テレワークなどを続ける必要がありますね。JASPICでも対面での活動
は極力控えるようにし、各種会合は主にZoomを使ったオンライン会議
になっています。これだけもコミュニケーションは可能ですが、miro
というオンラインホワイトボードシステムを併用することも多くなっ
います。少し慣れは必要ですが、ふせん紙のイメージを貼ったりしな
がら会合ができるので、対面により近い形ができるようになってきま
した。さらにメンバーの交流の場としてSpatialChatというバーチャル
空間で会話できるシステムも使ったりしています。バーチャル空間と
言っても二次元の絵の上に参加者を表すアイコンがあるだけなのです
が、近くにいる人の声は聞え、遠くにいる人の声は聞こえないという
のがポイント。これで立食パーティーでいろんな人と話をするイメー
ジが実現できます。
本当は実際に会っていろいろな会話をするのがJASPICの楽しみの一つ
なのですが、しばらくはバーチャルな密で楽しみたいと思います。

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 JASPIC メルマガ 2021年4月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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