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 ◆ JASPIC メルマガ 2019年6月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. イベント参加報告: プロセス改善の輪を広げる
                      (TSPIC(台湾)との交流)
 3. コラム:「開発プロセスを組織文化の継承に活かす」
 4. SPI Japan 2019 のご案内
 5.会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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●SPIトワイライトフォーラム
  「アジャイル開発を支援するための
     『アジャイル開発スタートアップキット』」
  http://www.jaspic.org/events/twilight/2019-07/

  発表者:JASPIC アジャイル分科会
          和良品文之丞(個人会員)、大脇斉(富士通)、他
  主  催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC)
  日  時:2019年7月3日(水) 18:30-20:30
  場  所:港勤労福祉会館(田町) 第一洋室
  http://www.city.minato.tokyo.jp/shisetsu/shokokaikan/kinrofukushi/01.html

●TCSE2019(Taiwan Conference of Software Engineering)
  https://tcse2019.seat.org.tw/japan-track
  (日本語による案内は7月上旬に上記サイトで公開します)
  
  主  催:Software Engineering Association Taiwan
  共  催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC)、ソフトウェア技術者協会(SEA)
  日  時:2019年7月29日(月)~7月31日(水)
  場  所:千葉工業大学(千葉県習志野市)
  https://www.it-chiba.ac.jp/institute/access/
  内  容:・テスト自動化に関するワークショップ
          ・台湾と日本からのキーノート
          ・台湾からの論文発表、日本からの事例発表など

●JASPIC例会(JASPIC会員限定です)
  日 時:2019年7月10日(水)
  内 容:・カンファレンス報告、合宿報告など
         ・勉強会「心理的安全性を理解する」
           - 働き方改革と心理的安全性
           - 心理的安全性って何?
           - Google社員に突撃インタビューしてみた
           - 心理的安全性ゲームをやってみよう

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 ◆2. イベント参加報告:プロセス改善の輪を広げる
                        (TSPIC(台湾)との交流)
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5月25日(土)に、TSPIC(Taiwan Software Process Improvement 
Consortium)の年次大会に参加してきました。JASPICからTSPICの年次
大会には、2016年から毎年参加しています。今年は、TSPICからの要望
もあり、“派生開発手法XDDP”の説明をしてきました。
XDDP(eXtreme Derivative Development Process) は、SPI Japan 2011
の基調講演、SPI Japan 2007 のパネル討論やチュートリアルなど、
SPI Japan で何度も講演をしてくださった故清水吉男氏が開発した
「派生開発の要求に合った開発プロセス」です。今では、この手法は
日本国内では幅広く浸透し、多くの企業やプロジェクトで活用されて
います。その活用事例は、毎年初夏に開催される派生開発カンファレ
ンス(*1)でも多数公開されています。

逐次通訳をはさみながら、1時間の発表だったので、基本的な事をしっ
かり伝えるようにしました。最初に、追加と変更のプロセスを持つ派
生開発向けプロセスXDDP、プロセス設計技術PFD、要求仕様化技術の
USDMを説明しました。次に、XDDPの変更プロセスでは、変更に着目し
た成果物として、変更要求仕様書、TM(トレーサビリティ・マトリック
ス)、変更設計書の3点セットが作られることを説明しました。最後に、
XDDPの勘所として、要求仕様書の考え方やスペックアウトなどについ
て説明しました。発表後の質問も活発でしたので、参加者の方々には
ある程度伝わったと思っています。

今回の年次大会には、約50名が参加していました。この発表以外にも、
「産学が連携してソフトウェア開発へAIを適用した事例」、「Python
のオープンソース機械学習ライブラリであるscikit-learnの実践的活
用方法」の2つの発表と、「パネル討論」がありました。パネル討論で
は、日本から参加したJASPIC理事長の赤坂さん、運営委員長の遠藤さ
ん、小笠原の3名が参加して、AIの活用、アジャイル開発の動向など、
いくつかのテーマで議論をしました。質疑応報も活発で、とても楽し
い時間でした。

TSPICとの連携をきっかけに、今年は、7/29(月)~7/31(水)の3日間、
千葉工業大学(千葉県習志野市)で、TCSE2019(Taiwan Conference of
Software Engineering)を開催することになりました。興味のある方は
ぜひご参加ください。

(*1) http://affordd.jp/about_conference.shtml

小笠原 秀人(個人会員)

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 ◆3. コラム:「開発プロセスを組織文化の継承に活かす」
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従来、企業創業者の経営方針や物づくりの指針などの組織を醸成する
文化は従業員が創業者より脈々と受け継いでいました。しかし、組織
の急速な成長により、組織全体に文化を継承すること、企業理念を組
織全体に浸透させること、優秀な人材の仕事の仕方を継承し、発展さ
せることなどが困難になりつつあります。

企業では、企業理念から経営方針、事業戦略と細分化されそこから製
品企画が定義されます。定義された製品企画から要求分析へ落とし込
む作業が、魅力ある製品開発のためには重要になります。

企業理念、経営方針に基づいた仕事の仕方をプロセスに組み込むこと
で組織全体が価値ある製品を継続的に開発できるようになります。し
かし、残念なことに仕事の仕方をプロセスとして定義できている組織
は少なく、個人に依存した開発になる傾向があります。

過去に優秀なエンジニアの仕事の仕方を組織で共有することが出来な
いままそのエンジニアが企業を去っていく事例を何回も目にしました。
その結果、私たちの心をワクワクさせるような製品に出会う機会が少
なくなってきているのではないでしょうか。

プロセスに定義されるタスクの実行で目的が達成されると価値のある
成果物が生成されます。さらに個人の仕事の進め方を付加したタスク
定義をし、タスクが何のために必要か理解できるようになります。
これにより優秀なエンジニアの仕事の仕方を若手エンジニアの仕事ぶ
りに活かすことができるようになります。更に組織から個人へのフィ
ードバックにより個人の継続的な改善が期待できます。

私たちの心をワクワクさせる製品開発は、真の目的を探し出すプロセ
ス定義が重要です。さらにステークホルダーを定義し、要求を獲得し
た上、要求の目的・価値を定義し、この価値がステークホルダーにと
って嬉しいことか確認します。また、その上位目的を考え定義するこ
とができれば、新たなビジネス要求と価値を定義できます。これを達
成するため副次的な目的を新たに考えることが可能になります。その
目的により、いままで想定していなかった要求や価値を訴求すること
ができるようになります。更にこれを個のエンジニアの仕事の仕方を
定めプロセスに加えることで組織文化を継承し継続的に発展させるこ
とが可能になります。

プロセスは、毎回同じ結果を作り出すものではありません。その時に
最適な結果を作り出すためにあります。その為には、真の目的の定義
と、創業者や優秀なエンジニアの考え方を開発プロセスに組み込むこ
とによって組織文化を継承して改善し続ける生きたプロセス定義とが、
大切なのです。

(いわはし ますみ)

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 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆4. 会員募集
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JASPICは、現在、15社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員、分科会会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会のご案内
    http://www.jaspic.org/basicDocuments/Brochure.pdf
  ■会員企業と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

入会を希望される方はお気軽にJASPIC事務局にお問い合わせをお願い
いたします。

JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org

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 ◆5. SPI Japan 2019 のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2019)の開催日と開催場所は
以下の通りです。

  ■日程:2019年 10月9日(水)~11日(金)
  ■場所:京都テルサ(京都府京都市)
          http://www.kyoto-terrsa.or.jp/

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス
カッションを予定しております。7月末から参加者の募集を開始いたし
ます。詳しくは以下のWebページでお知らせします。
  http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2019/

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近年の海外からの観光客の増加などで、京都付近での宿泊先の確保は、
日程が近づくほど困難になることが予想されます。
カンファレンスに参加予定のみなさまは、早めに宿泊先を確保される
ことをおすすめします。
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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
梅雨で雨続き、梅雨が明ければ夏本番の猛暑と、屋外でのレジャーを
楽しむのが難しい日々が続きますね。そんな時はやはり屋内がよさそ
うです。
私は先日さいたまの鉄道博物館に行ってきました。車両の展示はもち
ろん、鉄道の歴史の展示などもあり一日楽しめます。また、仕事体験
やミニ列車の運転などは子どもたちに大人気のようでした。個人的に
は歴史の展示がとても興味深かったです。過去の事故や災害などを教
訓とし、より安全で快適な鉄道へ改善しようとする技術者の熱意には
胸を打たれるものがあり、日々当たり前に利用している鉄道に改めて
感謝の思いが沸きました。
近場には他にも行ったことのない博物館が大小様々あるので、新たな
発見や感動を探しに出かけてみたいと思います。皆さまも天候に左右
されない博物館巡り、いかがでしょうか。

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 JASPIC メルマガ 2019年6月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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