━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2016年6月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. イベント実施報告: SPIトワイライトフォーラム 2016年6月 3. コラム: 岡田公治(東京都市大学) 「組織プロセスの実力を表わす鑑」 4. アジャイルを実践するための『Agile Lab. Kyoto』はじめます 5. SPI Japan 2016 のご案内 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── ●JASPIC例会(JASPIC会員限定です) 日 時:2016年7月14日(木) 内 容:1. 合宿報告 2. カンファレンス報告(旧SEPG North America) 3. ミニネタ紹介 4. 分科会表彰発表 5. 各社事例紹介 6. ディスカッション&シェアセッション ─────────────────────────────── ◆2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム 2016年6月 ─────────────────────────────── 今回は、講演者にオブジェクト指向やモデリングで著名な株式会社豆 蔵の井上樹さんをお迎えして、「システムズエンジニアリング領域か らのプロセス改善」というテーマで開催致しました。参加者は、19名 (研究員2名、会員企業6名、一般11名)でした。長崎県立大学の日下 部先生や「ゴール&ストラテジ入門」の訳者のひとりである新谷さん にも参加頂き、大変活発な議論がなされました。 組込みソフトウェア開発の現場では、「ハード設計が終わらないから ソフト開発が始まらない」、「ハード設計がこうなっていたら、もっ とソフトが作りやすくなるのに」、「これはハードで実現した方が良 いのでは?(最適配置の問題)」といった声をよく聞きます。このよ うな問題に対して、「最初にシステムの観点から検討を行い、その結 果をもって、ソフトウェア開発、ハードウェア開発を進めていく」の がシステムズエンジニアリングです。近年、モデルを活用したシステ ムズエンジニアリングが提案され(主なモデリング言語はSysML)、 宇宙機、自動車、OA機器、重工業系、電力系などで活用が始まってい るそうです。 資料、発表とも非常に分かりやすい内容でした。講演後は、活発な質 疑応答がなされ、2時間では全然足りない、もっと深く議論したいと 感じるセッションでした。終了後は、恒例の懇親会で大いに盛り上が り、システムズエンジニアリングを導入するにはどうすればよいか? といった議論が夜遅くまで続きました。 一般社団法人システムズエンジニアリング研究会(SERA)では、毎月、 システムズエンジニアリングに関する勉強会を開催しています。勉強 会の情報は、以下のURLから参照できます: http://www.sera.or.jp/ システムズエンジニアリングを知りたい、導入したいとお考えの方は 是非お役立てください。 ─────────────────────────────── ◆3. コラム:「組織プロセスの実力を表わす鑑」 ─────────────────────────────── 私事ですが、産業界から学術界に転身して一年余りが経ちました。前 職では、様々な事業分野、様々な組織、様々な製品やサービスの開発 プロセスを観察する機会に恵まれました。その中で得られた知見の一 つに、「リスク管理表は、組織プロセスの実力を表わす鑑である」と いう経験則があります。 何だ、また CMMI の話か。リスク管理プロセスの実装は、成熟度レベ ル3の要求事項だという話か。といった溜息が聞こえてきそうですが… ご存じの通り、リスクとは、それが顕在化すれば目標に影響を与える 不確実な事象や状態とされています。「顕在化すれば」とあるように、 未だ顕在化していない事象や状態、顕在化するか否かが定かでない事 象や状態がリスクなのです。製品開発プロジェクトの成功が目標であ るとすれば、それに影響を与えるかもしれない確率論的な事象や状況 がリスクということでしょう。ところが、製品開発プロジェクトのリ スクを特定し記載したリスク管理表の記載内容を精査してみれば、 「人的リソース不足に陥り納期遅延を起こすかもしれない」「設計品 質が悪く手戻りが発生しコスト超過するかもしれない」といった記述 が散見される組織もあります。確かに、これらは未だ顕在化していな い問題かもしれません。一方、組織プロセスの実装が進んだ組織であ れば、人的リソースの十分性を評価したり設計品質を確保する為の作 業項目がプロセスの中に織り込まれています。プロセスとして為すべ き作業項目で問題を検出することができず対策を打つこともできてい ないという、既に顕在化している問題として意識されるが故、リスク 管理表ではなく問題点(課題)管理表の方に記載されることになります。 組織プロセスが精緻に定義された組織のリスク管理表は、自組織で制 御困難な、すなわち外部に起因するリスクの割合が高くなるのです。 では、外部に起因するリスクの割合が高い組織であれば、組織プロセ スの実力が高いのか。そうとも限りません。リスク管理表に記載され たリスクの表現に意識の差がにじみ出ます。そのリスク表現は、他の 製品開発プロジェクトに当てはめたときにも、そのまま当てはまるの か。そのまま当てはまるようであれば、標準のリスクチェック項目の 写しであるか、あるいは他のプロジェクトのリスク管理表からのコピ ペかもしれません。そのプロジェクトに固有の状況を鑑みたリスク表 現であり、他プロジェクトにそのまま当てはめることができない表現、 そのプロジェクトに特有の情報や固有名詞が多く含まれた表現は、具 体的にリスクを見極めようとした証です。組織プロセスは精緻に定義 されていても証跡を残す為にリスク管理表を作成しているようでは、 効果は期待できません。プロジェクトを成功させるために、リスクを 考え抜く姿勢がリスク表現に表れてくるのです。精緻に定義された組 織プロセスを、プロジェクトを成功させるという目標の為に、意識高 くきっちり実施している。それが「組織プロセスの実力」なのです。 皆さんも、簡易な組織プロセスアセスメントとして、自組織や自プロ ジェクトのリスク管理表に、どんな記載がなされているか確認してみ ては如何でしょうか? 岡田 公治(東京都市大学) ********************************************************* 本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します! ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有 してみませんか?~ 執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】 【氏名】を以下の宛先まで送付ください。 ※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が ありますことをご了承ください。 ◆執筆要領 ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安 ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK) ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載 されていないもの ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能 ◆宛先 PR-infoアットjaspic.org 執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。 皆様の活発な投稿をお待ちしております! ********************************************************* ─────────────────────────────── ◆4.アジャイルを実践するための『Agile Lab. Kyoto』はじめます ─────────────────────────────── カンファレンスなどで「アジャイルやってます」ということをお聴き することも増えました。欧米並みの普及率とまでは行かないものの、 ソフト開発の選択肢として、アジャイルがあたりまえになりつつある のかもしれません。とはいえ、アジャイルコーチやスクラムマスター が潤沢に存在しているわけではないので「これがアジャイルなのかな ?」と思いながら自分たちなりに手探りで実践されている方も多いの ではないでしょうか? 7月から京都でアジャイルを実践するための『Agile Lab. Kyoto』 をはじめます。拙書「わかりやすいアジャイル開発の教科書」を土台 にして、毎月1回平日夜開催で、6回をタイムボックスにしたシリーズ 勉強会です。つまり半年サイクルでアジャイルを実践するためのノウ ハウを身につける、初めての方向けの勉強会です。勉強会といっても 名前の通り、学びとディスカッションを合わせ、受講された方の気付 きを大切にする研究会スタイルで進めていく予定です。これからアジャ イルを始めてみたい方、実践しているけどなんだかうまく行かない方、 アジャイルに関わるSEPG、SQAの方などなどだけでなく、うまくいって いる実践ノウハウを伝えたい方、アジャイルコーチの方々にも参加し ていただければうれしいです。基本的にコミュニティですので、参加 費は不要です。定員30名。 詳細はFacebookの『Agile Lab. Kyoto』にて共有していきます。 https://www.facebook.com/groups/AgileLabKyoto/ たくさんのみなさまのご参加お待ちしております。 お気軽にご参加ください! 日新システムズ 未来戦略室 前川 直也 ─────────────────────────────── ◆5. SPI Japan 2016 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2016)の開催日と開催場所 は以下の通りです。 ■日程:2016年10月12日(水)~14日(金) ■場所:富山国際会議場(富山県富山市) http://www.ticc.co.jp/ 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス カッションを予定しております。7月末から参加者の募集を開始いたし ます。詳しくは以下のWebページでお知らせします。 http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2016/ ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 本格的な梅雨の時期になりましたね。なかなか山に行く機会が少なく なってきていますが、先日久しぶりの晴れ間を活用し「大菩薩嶺」に 行ってきました。大菩薩嶺はご存知ですか?山梨県にある標高2057m の山で日本百名山にも登録されています。この山の特徴はまず初心者 でも上りやすい!登山口の1500m位までは車で行けますので、標高の 割には初心者の私でもサクサク登れます。あとは何と言っても眺望が 素晴らしい!!大菩薩峠から頂上までのルートは木が少なくなり見晴 一段と良くなります。大菩薩の尾根からは富士山をはじめ、南アルプ ス、乗鞍岳、八ヶ岳、奥秩父の山々などの展望が望めますし、先日行 った時は雲海まで見れました。ただ頂上付近日差しを遮るものがあり ませんので、これから登ろうと計画されている方は日焼け対策が必要 だと思います。途中に山小屋もいくつかあるので、休憩しながらのん びり上るのもいいかもしれませんね。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2016年6月号 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━