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 ◆ JASPIC メルマガ 2014年2月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. 分科会の紹介:関西分科会
 3. コラム:永田 敦(ソニー株式会社)
          「出会いのものすごさ」
 4. SPI Japan 2014 のご案内
 5. 会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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これから開催するイベント情報についてご案内します。

●JASPICトワイライトフォーラム(4月開催予定)
SPI Japan 2013プログラム委員長賞を受賞した、ソニーの永田さんの
講演を予定しています。詳細は決まり次第、案内文とホームページに
てお知らせします。

タイトル:
アジャイル開発における品質保証部門によるシステムテストのアプローチ
~アジャイルチームに寄り添う品質保証部門の考え方~
講演者:永田敦(ソニー株式会社)

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 ◆2. 分科会の紹介
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JASPICでは、あるテーマに対して興味を持つメンバが集まり、一年間
にわたって議論する場として11の分科会が活動しています。その中か
ら今回は、関西分科会をご紹介します。

●関西分科会
関西に拠点を持つ企業と、関西に縁のあるメンバで構成する分科会です。
JASPICをはじめとした様々な活動やイベントは、東京近辺で開催される
ことが多く、関西方面からは参加しにくいという声が多くあります。
当分科会メンバを通じて関西に情報を持ち帰り、関西特有の課題や視点
に基づいて議論や勉強をしながら、より深い理解や展開に挑戦してきま
した。また、当分科会は固有技術を冠していません。ソフトウェアやそ
の改善に関することなら、何でも議論します。
情報を持ち帰ることに加えて、メンバが日々の業務で直面した課題や悩
み、そして成果を持ちより、議論を通じて共有し、励ましあって、自信
を高めたうえで、日常業務に戻っていく、そのような、学びや研鑚の場
であり、癒しの場でもあります。関西特有の(?)本音で話し合う文化
のもとで切磋琢磨し、組織や個人それぞれの力量向上を目指しています。
その成果は様々な形で他地域にフィードバックし、日本全体のSPI活動の
盛り上げにつなげたいと思っています。
JASPIC内外のコミュニティの交流を深めるとともに、もう一度基本に
立ち返り、SPIとは何か、CMMIとは何かなどの議論にも挑戦します。

【運営形態】
  ・下記、会合形式での発表・議論の実施
    毎月一度、関西にて、半日程度のディスカッション
    主に京都・大阪の各社拠点で持ち回り開催します
    年に数度、関西にて、一泊程度の合宿形式ディスカッション
    リフレッシュするため、環境を変えて議論します
  ・適宜、持ち帰りの宿題
    英文和訳、発表資料の作成など

【これまでのネタ】
  ・派生開発
  ・ハードウェアとソフトウェアの連携(プロセス、品質保証など)
  ・アジャイルや反復開発、スクラム
  ・CMMI for services
  ・SPLE
  ・各社のソフトウェア開発やプロセス改善の課題・悩み・自慢

【主な成果】
  ・CMMIプラクティスとリーン/スクラム/XPの対応表

【参加メンバ】
  ・関西拠点企業      数社
  ・関西出身技術者    数名
  ・関西大好き技術者  数名

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 ◆3. コラム:「出会いのものすごさ」
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シンクロニシティいう言葉がある。偶然の出来事、出会いが、考えて
みると必然的なことであったと感じることと私は解釈している。こん
な私でも偶然にもすごい人に出会っている。Tom Gilb はその一人だ。

Tom Gilb は、アメリカ生まれで、IBM を経て今はノルウエィ在住のコ
ンサルタントである。日本ではソフトウェアインスペクションという
本で有名だが、ソフトウェアエンジニアリングにおける大御所である。
要求では Planguage[1] という表記法を提案し、見積もりでは
Impact Estimation[1] を提唱、そしてアジャイル開発の源流である
Iterative and Incremental Development (IID) においては、
EvolutionaryProject Management (EVO)[2] を提案している。私が
Tom Gilb と出会ったのは2008年SQiPシンポジウムの基調講演で再来日
した時だった。そこでアジャイルインスペクションを教わった。

毎年6月ごろに、Tom Gilb の招待者のみで構成する勉強会、Gilb Fest
を開く。これは2001年から続けられていて、London City の中心のと
ある銀行の大きな会議室を1週間借り切り20名以上の Tom Gilb のシン
パたちが、自らの専門を引っ提げてぶっ続けでプレゼン大会を行う。

その招待者の一人に、David Straker という常連がいた。英国人。コ
ンサル。社名 Changing Minds。必ず鋭い質問をする人で、ドメインが
少し違うので言っていることがよくわからなかった。Changing Minds
という本を出していて、ねだったら送ってくれた。面白い本なのだが、
その真意は理解していなかった。

それから数か月後、SPI Japan 2012で HBA の安達 賢二さんが発表し
た SaPID[3] に出会った。この発表はこの時見事最優秀賞をとってい
る。そのあと、JaSST北海道に行って安達さんの話を聞いた後、SaPID
のセミナーにも参加した。この考え方は、今の活動に非常に影響を与
えている。そんなとき、Changing Minds を読み返してみたら、これ
が実によくわかったのだ。まったく離れた所の人達のものの考えがつ
ながった。David Straker はすごい人だとそこでようやく気付いた。
どんなことかというと、プロセス改善は、結局、そのプロセスでの人
の考えや行動を変えていくことであり、その心を変えていく方法を持
っていない限り改善しないということがわかったのだ。そう考えると、
TPS もわかってくる。アジャイル開発もわかってくる。David Straker
はそれを心理学の側面から論理的に説明しており、安達さんはそれを
プラクティスとして SaPID にまとめている。これにより、私の現場
に対する品質改善のアプローチは180度変わった。この考えに気付いて
いなかったら、アジャイル開発でのプロセス改善はできなかったろう。

これからもまた、新しいすごい人の出会いとその気づきにめぐり合う
のが楽しみである。

ソニー PSG 品質保証部門  永田  敦

[1] Tom Gilb, Competitive Engineering, Butterworth-Heinemann
    (2005/8/30)
[2] Larman, Craig and Basili, Victor R., “Iterative and
    Incremental Development: A Brief History.”IEEE Computer
    Society, June 2003, pp 2-11.
[3] 安達賢二,システムズアプローチに基づくプロセス改善メソッド:
    SaPIDが意図するコト, ソフトウェアプロセス改善カンファレン
    ス2012 2012

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 ◆4. SPI Japan 2014 のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2014)の開催日と開催場所
が決まりました。

  ■日程:2014年10月15日(水)~17日(金)
  ■場所:プラサヴェルデ(静岡県沼津市)
          http://www.plazaverde.jp/

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス
カッションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。

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 ◆5. 会員募集
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JASPICは、現在、19社によって構成されています。SPIの技術や活動の
進め方を学びたい、議論したいという法人会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会について
    http://www.jaspic.org/modules/profile/index.php?content_id=5
  ■会員企業と運営体制
    http://www.jaspic.org/modules/profile/index.php?content_id=10

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
関東甲信や東北地方を中心に記録的な積雪など寒い日が続いていまし
たが、春は少しずつ近づいているようで、梅の便りが聞こえるように
なってきました。見頃も間もなくだと思いますので、梅の名所と言わ
れるところに出掛けてみるのもいいのではないでしょうか。
関東では、日本三名園のひとつでもある水戸の偕楽園が有名ですね。
JR常磐線の偕楽園駅が最寄ですが、ここは梅まつりの時期に下り電車
のみ停車する臨時駅です。臨時駅で下車できるのはレアな体験で、鉄
道ファンでなくても何となく得した気分です。
肝心の梅ですが、偕楽園には約100品種3000本の梅が植えられている
だけあってとても見事です。梅の香りも楽しみながら園内を散策して
いると春の訪れを感じることができますよ。
ただし偕楽園には杉の木もたくさんあります。数年前の話ですが、私
はそれを知らずに行ってしまい大変なことになりました。観梅に集中
するために、花粉症の方は万全の対策をされてお出掛けされることを
オススメします。

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 JASPIC メルマガ 2014年2月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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