━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2023年2月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. 2023年度分科会の紹介 2. 分科会の紹介:要件定義プロセス分科会 3. コラム:小笠原 秀人(千葉工業大学) 「ソフトウェア開発PBLプロジェクトの評価」 4. SPI Japan 2023のご案内 5. 会員募集 ─────────────────────────────── ◆1. 2023年度分科会の紹介 ─────────────────────────────── JASPICでは、あるテーマに対して、興味を持つメンバが集まり、一年 間にわたって議論する場として分科会を作り、その中で自分たちで計 画をたて、議論を深めるという活動を実施しています。この活動で作 成した成果物は、JASPIC会員企業のメンバが活用できるように提供さ れます。また、その成果は、SPI Japan などでJASPIC会員企業以外に オープンに公開していきます。 2023年度(2022年12月~2023年11月)は、次の13の分科会です。 ・SPI推進課題分科会 ・SPI事例研究分科会 ・ソフトウェアプロセスデータ実践分科会(コミュニティ) ・SPI現場ノウハウ交換分科会 ・コア・コンピテント・チーム研究会 ・プロダクトライン分科会 ・人材育成分科会 ・関西分科会(SPI理想可視化分科会) ・要件定義プロセス分科会 ・プロセス改善戦略分科会 ・IDEALモデル実践研究分科会 ・オフショア分科会 ・アジャイル分科会 分科会にのみ参加することができる分科会会員制度もあります。体験 入会もございますので、分科会に興味のある方、入会を希望される方 はお気軽にJASPIC事務局にお問い合わせをお願いいたします。 JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org ─────────────────────────────── ◆2. 分科会の紹介:要件定義プロセス分科会 ─────────────────────────────── 要件定義プロセス分科会は、2011年4月より活動している分科会で、現 在5名の研究員が在籍しています。 【活動の目的】 要件定義に関するあるべき姿や問題/課題等について検討し、その知 見を共有する。最近はVUCAに対応するアジャイル開発での要件定義に 注力しています。 【過去の研究】 DX,SoE,共創などVUCA時代の開発は、今までのウォーターフォールでの 要件定義のやり方では、合わなくなってきており、アジャイルでのプ ロダクトバックログ(ビジネス的なユーザーストーリー)のやり方が良 いと思われるが、「どこまで記述すべきなのか?」「実装までのト レーサビリティはどのように確保するのか?」等々、悩ましいことや 検討すべきことがあり、現在提唱されている様々な要求工学的な手法 も調査して、得られた知見を共有し、あるべき姿について検討/整理 を行ってきました。 参考文献: アジャイルソフトウェア要求(Dean Leffingwell) 「実践ドメイン駆動設計」から学ぶDDDの実装入門(青木淳夫) モダン・ソフトウェアエンジニアリング(Ivar Jacobson他) PMBOK 第7版 等 【現在の研究】 今後も、要件定義プロセスの向上に寄与するような開発現場への提案 を成果物としてまとめて、継続的にブラッシュアップしていく予定で す。 ・要求の管理方法(バックログリファインメント,ユーザーストーリー 分割,ユースケーススライス) ・UX(ペルソナ,カスタマジャーニーマップ,デザイン思考etc)のポイ ントや取り組みの整理 ・大規模アジャイルへの対応 ... 等々 【最後に】 要求は「開発するもの」「発見するもの」等、いろいろ進化してきて います。要件定義に関する問題意識を持ち、あるべき姿に向けて検討 したい方、ぜひ一緒に活動しましょう。お待ちしています。 ─────────────────────────────── ◆3. コラム:「ソフトウェア開発PBL※プロジェクトの評価」 ─────────────────────────────── ※PBL:Project-Based Learning (問題解決型授業) 千葉工業大学に移って5年が過ぎようとしています。授業やゼミで学 生との会話を楽しみながら過ごしています。自分が大学生だった時の 事を振り返ると、授業中寝ている学生がいても何も言えません(^^;) 今回は、チームワークの評価に関する話題です。3年生の後期13週間 で実施する課題研究という授業があります。これは、各自がテーマを 決めて研究し、概要(2ページ)を書き、最後にプレゼンするというも のです。今回、「初学者のソフトウェア開発PBL実践における課題と 解決策に関する研究」というテーマに取り組んだ学生がいました。 3年生の前期にはプロジェクトマネジメント演習(PM演習)という授業 があり、この授業では3~4名でプロジェクトを作り、Webシステムを 開発します。小笠原研究室から3チームを作りました。その中の一つ のプロジェクトは、プロジェクトの運営に苦労していました。さきほ ど紹介したテーマで課題研究を行った学生は、このプロジェクトの運 営に苦労したプロジェクトのプロジェクトマネージャでした。 この学生に、アンケート形式で「チームワークの評価」をしてもらい ました。評価は、“タスクの達成度”と“チームワークの評価”の2 つで評価します。評価項目毎に8つの質問があり、それぞれ7段階で評 価してもらいます(1:まったく当てはまらない、7:とても当てはま る)。以下に、それぞれの評価項目を示します。 ■タスクの達成度 (タスクの実施方法や実現度合いを評価) 1.チームでしばしばチームの目標について見直しを行う 2.チームが効果的に機能しているかどうかについて定期的に話し合う 3.仕事を行うためにチームが用いる方法についてしばしば話し合う 4.チームの状況を考慮して、目標を修正する 5.チームの戦略はしばしば変更される 6.情報の共有がうまくできているかどうかについてしばしば話し合う 7.チームで仕事を行うためのアプローチについてしばしば見直す 8.チームの決定方法についてしばしば見直す ■社会的満足度 (チームを社会と捉えて社会的な観点から評価) 1.チームのメンバーは困難な状況に面しているときにはお互いを支え 合う 2.取り組んでいる仕事がストレスフルな時にも、チームは非常にサポー ティブだ 3.チーム内のコンフリクトは長引かない 4.チームのメンバーは、しばしばお互いに新しいスキルを教え合う 5.取り組んでいる仕事がストレスフルな時にも、チームとして協働し て取り組む 6.チームのメンバーはいつも友好的だ 7.チームでは、コンフリクトは建設的に対処される 8.チームのメンバーは迅速に論争を解決する 上記のアンケートを3チームに行った結果は次のとおりでした。 ―――――――――――――――――――― |評価項目\チーム| A | B | C | ―――――――――――――――――――― |タスク達成度 | 37 | 18 | 31 | ―――――――――――――――――――― |社会的満足度 | 52 | 16 | 51 | ―――――――――――――――――――― 上記のテーマで実施した学生はBチームでした。タスク達成度と社会 的満足度は他のチームより明らかに低いという結果になりました。本 人としては他チームと差が出ることは分かっていた事ですが、“そう だよね”と納得していました。今年実施したPM演習と課題研究をとお して、学んだ事と実践する事の難しさや、プロジェクトを実践する際 のポイントなどを再確認できたと思います。次回プロジェクトを実践 する際には一回り成長することを期待しています。 今回のアンケート項目は、SEAフォーラム in 北海道 (2022/11/25)で 得た情報でした。このフォーラムに参加してなければ、今回紹介した アンケートを実施することはなかったと思います。私からすると思い がけなく得られたとても美味しい情報でした。COVID-19感染拡大の影 響でフットワークが重くなった方もいると思います。COVID-19禍以前 の状態に戻る事を模索し始めている今年は、以前の活動を振り返り、 新しいリズムやパターンを作り上げるよい機会だと思います。みなさ まと、さまざまな方法と場所で会えることを楽しみにしています! 小笠原 秀人(千葉工業大学) ************************************************************** 本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します! ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有 してみませんか?~ 執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】 【氏名】を以下の宛先まで送付ください。 ※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が ありますことをご了承ください。 ◆執筆要領 ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安 ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK) ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載 されていないもの ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能 ◆宛先 PR-infoアットjaspic.org 執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。 皆様の活発な投稿をお待ちしております! 執筆して頂いた方には、JASPICロゴマーク入りの「測量野帳」をプレ ゼントいたします。 https://www.kokuyo-st.co.jp/stationery/fieldnote/lineup/ ************************************************************** ─────────────────────────────── ◆4. SPI Japan 2023 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2023)の開催についてお知 らせいたします。 ■日程:2023年10月11日(水)~13日(金) ■場所:朱鷺メッセ(新潟県新潟市)(オンライン併催も検討中) 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディスカッ ションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。 https://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2023/ ─────────────────────────────── ◆5. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、17社の法人会員および個人の会員によって構成され ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという 法人会員、個人会員、分科会会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会について https://www.jaspic.org/organization/join_us/ ■会員と運営体制 https://www.jaspic.org/organization/members/ ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 寒さが厳しい時期もそろそろ終わりになる頃ですね。以前は寒い中、 出社の用意をしていた時間に、家で温かいコーヒーを飲んでいられる、 もしくはまだ布団の中で温まっていられることが在宅のいいところだ なと思っています。そんなだらけた生活に慣れている中、先日、数年 ぶりに遠地出張に行くことになりました。出張先では毎朝外出準備を して、会議室まで移動か。と思うだけで面倒だなと思ってしまいまし た。ということで、嫌々ながら出張に行きましたが、行くと対面での 会議の良さが分かり、久しぶりのスーツで気持ちも引き締まりたまに は良いかなと思えました。あとは、やはり出張の醍醐味。食を堪能で きました。特に海産物が美味しい場所だったため、刺身や海鮮丼、寿 司に炉端焼きなど毎日食べ歩いていました。次回のSPI Japanは新潟 です。是非皆さんも、現地でおいしいお酒と海産物を楽しんでいただ ければと思っています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2023年2月号 発行:日本SPIコンソーシアム https://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━