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 ◆ JASPIC メルマガ 2021年10月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. JASPIC公式noteの紹介
 3. 分科会の紹介:
    ソフトウェアプロセスデータ実践分科会(コミュニティ)
 4. コラム:八木 将計(日立製作所)
           「『カスタマーサクセス』のすゝめ」 
 5. SPI Japan 2021 実施報告
 6. SPI Japan 2022 のご案内
 7. 会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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●JASPIC例会(JASPIC会員限定です)
  日 時:2021年11月9日(火)
  内 容:1. SPI Japan 2021報告
         2. 講演
         3. カンファレンス報告
            ・Euro SPI
            ・SQiPシンポジウム
         4. 各社事例紹介とディスカッション
            ・キヤノンITソリューションズ
            ・富士通

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◆2. JASPIC公式noteの紹介
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JASPIC 20周年記念新聞「SPI通信」発信用に、JASPIC公式noteを開設
しました。JASPIC内外への情報発信、情報共有の場として試行運用中
です。

https://note.com/note_jaspic/

コンテンツは、JASPIC 20周年を記念して、2019年10月に発行した期間
限定の20周年記念新聞「SPI通信」の内容を引継ぎ、以下の記事を掲載
しています。

・エッセイ(こんにちは 運営委員長です。)
JASPIC運営委員長のソフトウェア、SPI、JASPICへの思いを「昭和」
「平成」「令和」の時代背景とともに3部作で発信。
現在、「昭和」「平成」が公開中です。

・4コマ漫画(ガンバレ!SEPG君)
プロセス改善推進者を主人公に、作者「ぶん」さんが鋭く時代を切り
取ります。

・リレーエッセイ
JASPICレジェンドの皆さんのエッセイです。心に響きます。

・JASPIC年表企画(SPI Japan全国巡りの歴史)
JASPICの歴史を振り返る記事です。

・プロセス改善に関する話題、JASPIC活動紹介

ぜひ、JASPIC公式noteにアクセスしてみてください。
「いいね!(スキ)」やご意見などいただけるとうれしいです。

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 ◆3. 分科会の紹介:
      ソフトウェアプロセスデータ実践分科会(コミュニティ)
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今年から、分科会名を改めました。SPCという略称は変わりません。
昨年まではStatistical Process Control(統計的プロセス制御)と
いう技術用語にちなんでSPC分科会と称していました。これは分科会
設立当時のCMMIモデルで高成熟度の中心と考えられていた概念です。
しかし、その後、CMMI自体も進化・発展しましたし、JASPICの活動も
CMMI以外にも広がっています。
本分科会の活動テーマも、CMMIにこだわらずデータ分析とそれに基づ
く実証的なプロセス改善へと変わって来ましたので、分科会名が現状
に合わなくなっていました。

新しい分科会名には、「データを基に実証的なプロセス改善をすすめ
る活動」をJASPIC内にとどまらず、広く展開していきたいという希望
が込められています。

少し、大風呂敷を広げてしまいましたが、本分科会の基本的な活動は
成書の輪読と定量的改善に関する事例紹介、経験の共有、悩み事相談
などです。

今年は、奥村晴彦「Rで楽しむ統計」共立出版を輪読しています。

これまで読んできた本の一部をあげますと、

・久保拓弥、「データ解析のための統計モデリング入門」岩波書店
・鐵 健司、「品質管理のための統計的方法入門」日科技連出版
・W.A. Florac, A.D. Carleton,” Measuring the
  Software Process” Addison Wesley
・K.D. Maxwell,” Applied Statistics for Software Managers”
  Prentice Hall
などがあります。

必ずしも一冊全て読み通すわけでもありません。途中でうまく進まず
ポシャってしまった年などもあります。しかし、基本的に毎年1冊ず
つ輪読を続けていますので、積み重ねが大きな力になっているのでは
ないかと思います。

輪読会では毎回、説明担当を決めて進めますが、担当の人が必ずしも
すべてを説明しきる必要はなく、わからないところはどうわからなか
ったか話して、出席者全員で考えて解決するという方針で臨んでいま
す。

また、ソフトウェア開発のデータ分析をとりあげた成書は数少ないの
で多くの場合、本に出てくる例はソフトウェア開発とは関係ありませ
ん。そこで、「ソフトウェア開発に適用したらどうなるか」を議論す
るように心がけています。

さらに、分科会メンバが実施した改善事例やデータ分析で問題になっ
ていることを紹介して、出席者間で経験共有したり、解決方法を議論
・アドバイスしたりする場を設けています。

本分科会で学んだり議論した成果は、SPI Japanで発表しています。
分科会メンバによる発表が多数あり、分科会自体としても2019年には
ワークショップ、2020年には一般発表を実施しました。特に、2020年
の発表は、実行委員長賞を受賞しました。

[Gilb文献輪読会の企画]
SPC分科会のテーマである定量的プロセス改善の先駆者の一人に
Tom Gilbという人がいます。SPC分科会からのスピンアウト企画とし
てTom Gilbの'Value Management'に関する文献を読もうという話があ
ります。Tom Gilb氏からは文献の無料使用許可を頂いております。

まだ、企画段階ですが、SPC分科会外の方も含めて開催したいと考え
ております。
ご興味がある方は、分科会会員という選択肢もありますので、事務局
までお問合せ願います。

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 ◆4. コラム:『カスタマーサクセス』のすゝめ
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最近、SaaS(Software as a Service)業界でホットになっている
「カスタマーサクセス」。

SaaSは、顧客がサービスをいつでも解約できる環境であるため、購入
時の顧客満足度を高めるだけではなく、自社のサービスやプロダクト
を顧客に長く使い続けてもらう努力をしなければなりません。

この「努力」、すなわち、「顧客の事業成功と自社の収益向上を両立
する能動的活動」がカスタマーサクセスです。カスタマーサクセスは、
2000年初頭にセールスフォース・ドットコムが提唱した概念であり、
ここ数年で、国内でも「カスタマーサクセス」ということばを見聞き
するようになってきました。

このカスタマーサクセスの「顧客に成功してもらう」という点が、
「開発現場に改善(成功)してもらう」ことであるSPI活動にも通ずると
ころがありそうなので、今回のコラムでご紹介します。馴染みのない
用語が多く、分かりづらい部分があるかもしれませんが、お付き合い
いただければ幸いです。

カスタマーサクセスでは、顧客の状況を大きく5つのステップで捉えま
す。
(1)トライアル:サービス・プロダクトの試行段階
(2)オンボーディング:サービス・プロダクトの初期導入教育段階
(3)エクスパンション:サービス・プロダクトを使いこなしている段階
(4)リニューアル:サービス・プロダクトの契約更新段階
(5)アップセル/クロスセル:サービス・プロダクトのアップグレード
  や他部署への展開段階

まずは小さいところで効果検証し、効果が確認できてから導入しても
らい、導入後は、期待する効果を発揮できるように使いこなしをサ
ポートしていきます。上手く使えていないと効果が出ずに、「意味が
ない、使えない」と思われてしまうからです。

そして、アップセル/クロスセルといった他展開を考える場合では、
「コミュニティ」を活用し、「使いかた事例」や「口コミ」で広げて
いきます。上手く使いこなしている優良顧客(チャンピオン)を基軸に、
事例を知りたい顧客を集め、サービス・プロダクトの良さを感じても
らいます。サービス・プロダクト提供者が良さをアピールするよりも、
実際に使っている人が紹介したほうが、効果的と感じやすいからです。

SPIでも状況によるとは思いますが、何らかの取り組みを現場に展開す
る場合、小さい範囲で試行・導入教育を実施し、効果を納得してもらっ
てから他部署への展開するといった戦略を取ることもあると思います。

こうしたカスタマーサクセスの考えかたはSPI活動にも応用できるので
はないでしょうか。

また、カスタマーサクセスでは、顧客を成功に導くために、まず顧客
が成功する道筋を「カスタマージャーニーマップ」で表現し、対応し
ている顧客が、この「カスタマージャーニーマップ」の中のどこに位
置しているかを「ヘルススコア」で把握していきます。「ヘルススコ
ア」とは、サービス・プロダクトの契約ライセンス数、ログイン回数/
頻度/人数、利用時間などといった顧客の状況を把握する指標のことで
す。そして「ヘルススコア」に応じたアプローチ方法がまとめられて
いる「プレイブック」に則り、顧客の状況をカスタマージャーニー
マップの軌道に乗せていきます。

このような進めかたで事業拡大している企業も多く、参考になるとこ
ろもあると思います。

年明けに開催予定の日本最大級のカスタマーサクセスカンファレンス
「BRIDGE」では、さまざまな事例発表が行われるようです。参加費は
無料とのことなので、参加してみてもよいのではないでしょうか?
https://bridge.customer-success.college

八木 将計(日立製作所)

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本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します!
 ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有
   してみませんか?~

執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】
【氏名】を以下の宛先まで送付ください。
※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が
  ありますことをご了承ください。

 ◆執筆要領
  ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安
  ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK)
  ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載
    されていないもの
  ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能

 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆5. SPI Japan 2021 実施報告
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2021年10月6日-8日で“「いかす」 ~新たな時代に“カイゼン”の力
を~”をテーマに SPI Japan 2021を開催いたしました。一般発表15発
表の中から以下の方々が受賞されました。(敬称略)

■最優秀賞
  無対面から始めるアジャイル開発
  ~完全リモートで自らカイゼンを回せるチームを0から作る~
     大脇 斉(Ridgelinez株式会社)

■実行委員長賞
  開発実習を含む集合研修のe-Learning化と成果
     岡本 優奈(住友電工情報システム株式会社)

なお、発表資料は11月末を目途にJASPIC Webサイトに掲載いたします。

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 ◆6. SPI Japan 2022 のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2022)の開催についてお知
らせいたします。

  ■日程:2022年10月12日(水)~14日(金)
             (2022/10/5(水)-10/7(金)に変更の可能性あり)
  ■場所:未定 (オンラインまたは関東圏での開催を検討中)

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディスカッ
ションを予定しております。日程・会場・開催形態や詳細は決定次第
JASPICホームページにてご案内いたします。

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 ◆7. 会員募集
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JASPICは、現在、15社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会について
    http://www.jaspic.org/organization/join_us/
  ■会員と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
本年のSPI Japanに参加していただいた皆様、ありがとうございまし
た。2年連続のオンライン開催となりましたがいかがでしたか?
本来ならば今年は新潟で開催予定でした。現地でご参加の方との交流
やご当地のグルメなど楽しみにされていた方も多くいらっしゃったと
思います。私も楽しみにしていた一人でとても残念に思いましたが、
オンラインでの様々な交流でもSPI Japanの熱気を感じることができ
たことは良かったです。
ところで現在もテレワークの方がたくさんいらっしゃるかと思います。
オフィスでの業務に比べて通勤がない分運動不足になりがちですよね。
ほぼ毎日テレワークの私もご多分にもれず悩んでいました。
そこで通勤時間が浮いた分、朝近所を散歩することにしました。どの
経路を散歩するか、何キロ散歩するかなど試行錯誤を繰り返して、今
は5キロ、45分を日課にしています。
通勤経路や買い物のルート以外ほとんど行くことがなかった近所のエ
リアで、お店があったり、小さな川があったり、桜の花がきれいだっ
たりといった新たな発見がたくさんありました。紫外線には要注意で
すが。
勿論、SPI Japanの期間中も朝の散歩後に参加しました。現地には行
けなかったものの、これはこれで新鮮という気持ちになったことも小
さなプラスでした。
皆様も新しいルーティンなどありますでしょうか。制約も多かったこ
の2年弱ですが、また小さなことでもプラスのことを見つけていきたい
と思っています。
緊急事態宣言もようやく明けましたね。来年こそは現地で皆様にお会
いできることを楽しみにしています。

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 JASPIC メルマガ 2021年10月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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