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 ◆ JASPIC メルマガ 2018年10月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム  2018年8月
 3. コラム:安達 賢二(HBA)
           「問題発見力のおはなし」
 4. SPI Japan 2018 実施報告
 5. SPI Japan 2019 のご案内
 6. 会員募集

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 ◆1. これから開催するイベント
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●SPIトワイライトフォーラム
  「CMMI(能力成熟度モデル統合)V2.0の概要紹介」
  http://www.jaspic.org/events/twilight/2018-11/

  発表者:JASPIC CMMI V2.0 翻訳研究会
  主  催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC)
  日  時:2018年11月29日(木) 18:30-20:30
  場  所:港勤労福祉会館(田町) 第一洋室
  http://www.city.minato.tokyo.jp/shisetsu/shokokaikan/kinrofukushi/01.html

●JASPIC例会(JASPIC会員限定です)
  日 時:2018年11月13日(火)
  内 容:1.SPI Japan 2018報告
         2.カンファレンス報告
            ・EuroAsiaSPI2018参加報告
            ・SQiP2018参加報告
         3.事例紹介1  株式会社ニコンイメージングシステム
         4.事例紹介2  TIS株式会社
         5.事例発表をもとにした共有セッション
         6.外部講師によるご講演
           「グローバルのPMIが語るアジャイルと
             日本のIPAが訴えるアジャイル」
             株式会社豆蔵 渡会様

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 ◆2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム  2018年8月
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今回のトワイライトフォーラムは、ソフトウェア開発の中で日頃実践
しているレビューをとりあげ、「間違いだらけの設計レビュー」とい
う図書の著者である名古屋大学の森崎修司先生にご講演頂きました。

開催場所は京都で、関西地区から20名の方に参加頂きました。参加者
と森崎先生との間での熱の入った議論もあり、とても盛り上がりまし
た。

今回は、ワークの作業時間を十分に取り、最初に参加者にワークをし
てもらったあと、講演&議論というスタイルで進めました。ワークに
先立ち、参加者をAチームとBチームに分けました。そして、森崎先生
が用意した2種類の仕様書を、Aチームは、仕様書(1)→(2)の順番でレ
ビューし、Bチームは、仕様書(2)→(1)の順番でレビューしました。

このようにレビューの順番を変える事で、最初にレビューした仕様書
から検出された欠陥の観点やパターンが、次のレビューの観点やパタ
ーンとして活用されていた、ということを体感しました。

森崎先生のお勧めのレビュー手順は次のとおりです:
・準備:どのような問題を検出すべきか検討する
・検出:問題を検出する
・指摘:検出した問題を会議で指摘し、指摘の網羅性を確認する

レビューが大切な事は分かるけど、何となく上手くいってないと悩ん
でいた方々や、チームや組織でより良いレビューを実践したいと考え
ていた方々にとって、多くの示唆が得られた講演でした。

今後の講演でもワークを行い、その結果は研究データとして活用する
ため、当日の資料の一部だけの公開となりますが、講演資料は次のURL
から参照できます。

http://www.jaspic.org/events/twilight/2018-08/

フォーラム終了後は、参加者の半分以上が残って恒例の懇親会に突入。
更なる議論で盛り上がりました。今後もホットなテーマを取り上げて
いく予定です。是非今後のテーマもお見逃しなくご参加ください。

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 ◆3. コラム:「問題発見力のおはなし」
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システム/ソフトウェア業界に携わるみなさんは、自らの力量を高める
ために外部の研修やセミナー、勉強会等に参加することも多いと思い
ます。
研修機関やセミナーセンターで主にどのような内容を実施しているの
かを思い起こしてみてください。
研修機関やセミナーセンターとしては自らのビジネスを維持・継続し
ていくために「人が集まりそうなテーマ」「ニーズがあるテーマ」を
設定するはずですよね。
IT業界向けで人が集まりそうな流行のテーマ…現在なら例えばAI・RPA
・IoT などでしょうか。そして継続してニーズがあるベーシックなテ
ーマとしては新入社員向けマナー研修、開発言語の習得、OSやデータ
ベース管理システムの使いこなし方、各種技法の習得などですかね。
これらで構成すると、前者は流行のキャッチアップに、後者は新入社
員~中堅クラスまでの段階的な育成を支援することができます。実際
にどの研修機関・セミナーセンターのメニューを見てもそのような構
成になっていることが多いです。あくまでも個人的な感触ですが、こ
れらが意味することは、多くの組織(人たち)が特定領域の「問題解決
力」を重視している、ということなのかもしれないなぁと感じていま
す。これらの内容は世の中の変化を捉え、新入社員からの段階的成長
を促進するものなので否定するつもりはありません。しかし一方で気
になることがあります。それは、個別領域の問題解決力を身につけれ
ばそれで終わりになっていないだろうか?ということです。

最近流行のRPAでもそうですが、RPAのやり方を学べば対象をRPA化する
ことが可能になります。とはいえ、闇雲にRPAで自動化しても思うよう
な効果は得られない、というのが現実です。人間の手作業を自動的に
やってもらえるのは確かに魅力的ですが、これまで非効率なやり方や
本来の目的に合わない結果しか得られていないやり方をそのまま自動
化する…。もちろん人間が手作業でやるよりは早くできる、うっかり
ミスをしないという効果は得られますが、本当に解決したいこと(問題)
はそのことなのでしょうか?
人手不足の解消のために“にっくき”手作業を無くすこと?
作業中に誤りを起こしてしまう厄介者の人間に委ねる領域を狭めて経
営者が楽々儲けられるようにすること?
流行のRPAをうちでも活用していると周囲に言える状態にしてお偉いさ
んの面子を保つこと?(笑)

紙面も限られているので話を前に進めましょう。
私が今回お伝えしたいことは、実務上の目に見える個別のリスクや問
題を首尾よく解決する問題解決力ももちろん重要だけれども、一方で
リスクや問題の発見力、もう少し丁寧に書くと、隠れたリスクや問題
をも明確化し、存在する多くのリスク、問題の中から現状で解決すべ
き問題を特定する能力も重要だ、つまり「問題発見なくして問題解決
なし」ということです。

この“問題発見力”には、多くの人が気づいていないところで「ここ
にはこういうリスク・問題がある」と気づくチカラと、現状のコンテ
キストや方針・目標に基づいてたくさんのリスクや問題の重要度や優
先度、解決した際の有効性などを評価して射抜くべきリスク・問題を
特定する、または適切な優先順位を付与するチカラ、が含まれます。
それができたらあとは「問題解決力」をフル活用して対象を撃ち抜く
ことになります。

問題発見力が重要だ、と主張するのにはもう一つ理由があります。ソ
フトウェア/システム関連の実務では、毎日計画された自らのタスクを
遂行するだけで目一杯、という場合が多いと思います。それでなくて
も計画していない横槍もたくさんやってきて日中は仕事にならない。
目に見える/見えないにかかわらず多くのリスクや問題に囲まれ、毎日
目先の問題を解決しながら業務やプロジェクトを進めています。別途
本質的な問題発見解決=改善に活用できるリソース的な余裕はほとん
どない。存在する多くのリスクや問題すべてに手をつけて解決するの
は無理、いや無茶な状態なのです。というわけで、多くのリスクや問
題の中から現状で解決すべき対象を特定し、自ら持ち合わせているす
ずめの涙ほどの余裕(涙)を集中投下して撃ち抜き、欲しい効果を獲得
することが求められています。

そしてここ20数年の間にわれわれの組織運営にはある変化が起きてい
ます。ある程度の規模を持つ組織では公的認証や実践レベルを評価す
るQMS・ISMSなどの事務局やSEPG、SQA、PMO、など間接的な専門組織や
その役割を担う方が増えているのです。それ以前にもシステム監査人
制度や安全対策実施事業所認証制度などが存在していました。しかし、
ここまで多くの側面の外部認証や役割が別々に立ち上がるとは当時は
誰も予想しなかったと思います。

この状況は組織の成果や結果を安定的に獲得するためにプロセスに着
目することが世界的に定着した証の一つなのだとは思います。しかし
一方で、プロセスにフォーカスするあまり、そして目先の効率化やス
ピードを求めるあまり、プロセス要求事項の形式的な適用や個別適用
による部分最適な実践で全体がギクシャクしたまま放置されているケ
ースも目立つようになっていることも事実です。

本来は組織全体、ビジネス、業務・プロジェクト、あるいはチームな
どそれぞれの領域で総合的に状況把握&評価した結果を俯瞰し、それ
ぞれの領域で方針や中長期的な目標、あるいは現状から見てどのリス
クや問題に取り組むのがよいのかを特定(問題発見)し、取り組むこと
が求められています。

導入当初はその側面に疎い要員も多いため、事務局や専門組織・専任
者が活躍するのは致し方ないと思います。しかし、いつまでも事務局
や専門組織・専任者だけがリスクや問題を俯瞰し、取り組むべきコト
を指摘してやらせる/やらされる状態を続けたり、第二者・第三者の監
査・審査・アセスメント結果等で客観的な事実を突きつけ、改善を促
すアプローチを続ければ、チームやプロジェクトが受身になったり、
萎縮・依存する状態になりえます。
「はいはい。言われたらやればいいのね。」という状態が続くことは、
実務の現場から問題発見に対する当事者意識を低下させ、結果として
「問題発見力を奪う」アプローチにもなりかねないのです。
製品・サービスを実際に作りこむ、そしてそのやり方を改善するのは
実務者の方たちです。主役を横において、脇役や外野が活躍する図に
なっているなら、それは求める姿ではないはずですよね。

品質→セキュリティ→プロジェクトマネジメント…と段階的に適用さ
れたさまざまな切り口の本当の目的は何なのか?個別バラバラに結果
を出せばいいのか?組織としてどうなることを目指しているのか?現
在の状態は本当に目指していた姿なのか?
実際に製品・サービスを作り上げている実務者やリーダ、管理者の
「問題発見力」がどのレベルで実践できているのかを軸に、いま一度
問い直す時期に来ているのでないでしょうか。

なお、以上の内容はMS事務局やSEPG、SQA、PMO、など間接的な専門組
織や兼務する方の存在や必要性を否定するものではありません。
「問題発見力」を軸にして、これらのみなさんが今後、製品・サービ
スを作り上げている実務者の方たちとどのようにかかわるのがよいの
かを是非一度考えてみてほしいと願うものです。

このあとも新たな切り口の外的介入が増えていくと予想される中、わ
れわれはどのような未来を描いて進むのがよいのか?その実現のため
にどうしていくのがよいのか?
是非一緒に考えていきましょう! 

安達 賢二(HBA)

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 ◆4. SPI Japan 2018 実施報告
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2018年10月10日-12日で“「挑む」 ~ Chance Challenge Change ~”
をテーマに SPI Japan 2018を開催いたしました。一般発表31発表の
中から以下の方々が受賞されました。

■最優秀賞
  プロダクトライン開発におけるプロジェクト運用効率化のためのPM
  スクラムの提案
   協力し合える組織風土の醸成に向けて
        林 健吾(株式会社デンソー)

■実行委員長賞
  ユーザビリティ評価の曖昧さを克服
   検証のプロによる効率的・効果的な評価手法の確立
        伊藤 浩子(キヤノンITソリューションズ株式会社)

■プログラム委員長賞
  海外開発拠点も含めたテスト自動化の普及・定着の取り組み
   常時利用可能な統一自動テスト環境の整備と、テスト資産の再利用
        加藤 裕之(東芝テック株式会社)

■特別賞
  私が始めた“働き方改革”
   課題の見える化から始めた仕事と心の改善
        石井 育美(株式会社デンソー)

なお、発表資料は11月末を目途にJASPIC Webサイトに掲載いたします。

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 ◆5. SPI Japan 2019 のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2019)の開催日と開催場所
が決まりました。

  ■日程:2018年10月9日(水)~11日(金)
  ■場所:京都テルサ(京都府京都市)
          http://www.kyoto-terrsa.or.jp/

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス
カッションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。

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 ◆6. 会員募集
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JASPICは、現在、17社の法人会員および個人の会員によって構成され
ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという
法人会員、個人会員を募集しています。
詳しくは、次のサイトを参照してください。

  ■入会について
    http://www.jaspic.org/organization/join_us/
  ■会員企業と運営体制
    http://www.jaspic.org/organization/members/

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
10月といえば、SPI Japan。参加していただいたみなさん、楽しんで
いただけたでしょうか?今年もいろいろな発見があったと思います。
今回も私はカンファレンスだけでなく、名古屋グルメも楽しみました。
名古屋グルメといえば、きしめん、手羽先、ミソカツ、名古屋モーニ
ングなどいろいろありますが、私の中での一番はひつまぶしです。も
ともとは、鰻丼の出前が多かったお店で、出前を下げる時に空の丼を
割ってしまうことがたびたびあったため、割れない木製のおひつに人
数分の鰻丼を入れて出前をするようになったそうです。でも、これだ
と鰻ばかり先に食べてしまい、ご飯が余ってしまうため、次は鰻を細
かく切ってご飯と混ぜるようにしたそうです。おひつでご飯と鰻を混
ぜる(まぶす)からひつまぶし。実はひつまぶしはプロセス改善から
できた料理だったんですね。名古屋のみなさんの改善意識が高いのは
土地柄なのかもしれませんね。今回も食事ネタになっちゃいましたが、
食欲の秋なので許してください。

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 JASPIC メルマガ 2018年10月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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