━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2017年12月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム 2017年11月 3. コラム:森田 祥男(ゴールドラットコンサルティング) 「(TOC特集5/5)TOC for Innovation」 4. SPI Japan 2017を無事に終えて~実行委員長からの挨拶~ 5. SPI Japan 2018のご案内 6. 会員募集 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── JASPICの新年度は12月から開始となります。今年度は下記のイベント を予定しております。 ●JASPIC例会(JASPIC会員限定です) 実施日時:2/16(金)、4/19(木)、 7/11(水)、11/13(火)、12/11(火) ●JASPIC合宿(JASPIC会員限定です) 開催日程:6/1(金)~6/2(土) ●SPIトワイライトフォーラム 開催時期:年3~4回程度予定(日時未定) ●SPI Japan 2018(愛知県名古屋市 ウインクあいち) 開催日程:10/10(水)~12(金) ─────────────────────────────── ◆2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム 2017年11月 ─────────────────────────────── 11月は「IoT時代のCMMI再考 ~CMMIのシステムエンジニアリング視点 を見直す~」というテーマで株式会社NTTデータの端山毅さんに講演 をしていただきました。 講演は2部構成になっていて、第1部は、「システムズエンジニアリン グに注目すべき理由。そのとき、なぜCMMIが利用できるのか」という 内容でした。第1部の発表のあと質疑・議論を行い、その後、休憩を 挟んだ第2部では、「CMMIから読み取れるシステムズエンジニアリン グの示唆」という内容で発表をしていただきました。 端山さんからのメッセージは、「CMMIを、システムズエンジニアリ ングの視点で、もう一度読み直そう!」というものでした。以下は、 最後のまとめのスライドからの抜粋です。 ・現在のビジネス環境において、多くの人たちが類似の問題に直面 している - VUCA: Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity ・システムズエンジニアリングもソフトウェアエンジニアリングと類 似の課題と向き合っている。そのアプローチには、学ぶべきところ がある。 ・CMMIはその入門書としてお手軽(日本語、無料)、再読を勧めます 当日の発表スライドは、次のURLから参照できます。わかりやすい内 容ですので、ぜひ参考にしてください。 http://www.jaspic.org/events/twilight/2017-11/ フォーラム終了後は、恒例の懇親会で大いに楽しみました! ─────────────────────────────── ◆3. コラム:「(TOC特集5/5)TOC for Innovation」 ─────────────────────────────── TOC特集をテーマに全5回のコラムを掲載してきました。今回はその最 終回です。 こんにちは。ゴールドラットコンサルティング 森田祥男です。 1回目は、「なぜマツダは復活できたのか」 2回目は、「TOCの基本と4つの信念」 3回目は、「CCPMの正しい実践方法」 4回目は、「TOC流 要件定義」 についてご紹介しました。 ■1回目: http://www.jaspic.org/mailmagazine/201702/ ■2回目: http://www.jaspic.org/mailmagazine/201704/ ■3回目: http://www.jaspic.org/mailmagazine/201706/ ■4回目: http://www.jaspic.org/mailmagazine/201710/ 今回は、最終回として、TOCではどのようにInnovationを継続的に産み 出せるのかについて、ご紹介します。 ソフトウェア開発において、こんな機能を付加しても、本当に顧客で あるクライアントやエンドユーザーの為になっているのだろうか? 喜んでくれるのだろうか? 企画や営業の自己満足であったり、他社と の機能比較の星取表に○を付けるだけの為ではないだろうか?このよう な疑問を抱きながらも、これを作れ! と上から与えられた仕事なので 何とか作らねばならない。しかしせっかく作った機能でも、企画や営 業からイメージと違うと言われて何度も手直ししたり、予算超過、デ グレなど開発現場が混乱した結果、なんとか完成させたとしても、結 局、顧客にはほとんど使われず、売上も顧客満足も思ったような成果 に結びつかないことは無いでしょうか?そうすると売上を確保するため、 また次々と追加仕様や追加要求が降りてくる。こういう悪循環を何と か打開したいがどうしていいかわからないまま、虚しい気持ちで仕事 に取り組んでいる。こんなことは無いでしょうか? この根本にある原因は、「誰も、顧客が本当にしたいこと、欲しいこ とがわからないから」ではないかと思います。 もしも、この原因を解消でき、「顧客が、WOW!と言うような、本当の 要望を常に明らかに出来ている」といった状態が実現できれば、開発 現場は素晴らしく変わると思います。 顧客にWOW!と言わせるヒットを連発するためには、天才的なイノベー ターが必要だと言われてきました。しかしこれからお話する、価値を ベースとしたイノベーションプロセスを用いることで、誰でもイノベ ーターになれ、WOW!を実現する可能性が格段に高まるとしたら、やっ てみる価値はないでしょうか? ゴールドラット博士は、「価値」を次のように定義しました。 「価値とは、顧客にとっての重要な限界を、過去には不可能だった方 法を使って、他のどの競合もできなかったレベルで、取り除くことで、 もたらされるものである。」 ここで重要なことは、「限界」を超えた向こう側にWOW!があるという ことです。顧客でさえ気づいていない、当たり前だと思っている見え ない壁が限界です。この限界を見つけ打ち破ることで、顧客でさえ気 づいていない真の要望を定義することが出来るのです。 つまりWOW!を見つけるのに、市場調査を重視し過ぎてはならないとい うことです。顧客はそもそも、限界を、それが現実の一部だと思って いることがほとんどだからです。 価値を見つける時には、3つの視点で考えます。 1)顧客の目 顧客の重要な困りごとを考え、どんな限界があるかを分析します。 例えば、高血圧で困っている人は、血圧は医者へ行って測ってもらう ものという常識がありました。重要な困りごとは医者に行かねばなら ないということです。しかしこの限界を打ち破ったのが、家庭用血圧 計です。加えて、この商品は医者にとっての困りごとも解決しました。 患者は病気になってから医者に来るので、普段の血圧の推移がわから ないのです。家庭用血圧計で患者に常に測ってもらえれば、その限界 も突破できます。 2)市場の目 自己満足を得るためにものすごい労力や出費をしても惜しくないとい うニッチな市場が存在します。例えば、自分の大好きなキャラクター の絵を車全面に塗装し自己アピールする痛車です。彼らは塗装するお 金も時間も惜しみません、しかしそれ以上に車の下取値は激減します。 ここまで労力や出費をしてもやりたいという強い要望があるのです。 もしもこの労力を取り除くことが出来たとしたら、同じような要望を 持っている潜在市場はものすごく大きいかもしれません。 3)商品の目 商品のパラメータを、思い切り振り切って大きくする、または極端に 減らす、思い切ってゼロにする、という発想によって、どんなインパ クトを顧客に与えられるかを分析します。 テープレコーダーでは録音と再生が出来るというのが常識だった時代 に、ウォークマンは思い切って録音ヘッドを取り去りました。これに よって再生ヘッドを大きくすることが出来、音質を向上させることが 出来たという事例などがこれに該当します。 これら3つの目でアイデアをどんどん出し、横軸を年、縦軸をWOW!度 として、10年くらい先までの振り切ったWOWロードマップを作ります。 次に横軸にWOW!を実現するための要素技術開発のロードマップを重ね 合わせると、商品ロードマップと技術ロードマップが一体化します。 優秀な技術者は頭の中で自然にこれを組み立てているのですが、多く の知見を結集してWOWロードマップを作ることで、技術と商品のつな がりと実現時期が見え、社内の協力と理解が得られやすくなります。 全ては、WOW!を如何に実現するか、つまり顧客にどんなWOW!という 価値をもたらすか、これを最初に考えつくすことで、営業、企画、開 発、設計、生産などあらゆる部署の社員が、顧客にWOW!を届ける製品 開発にワクワクして集中することができ、仕様のブレや手戻りも大幅 に減ります。結果、WOW商品がいち早く投入でき、市場を席巻するリ ーダーになれるのです。 ここまで、WOW!の見つけ方のヒントをご紹介しました。しかし、いか にコンセプトが優れていても、それだけでは商売にならないのは自明 です。限界を飛び越えた優れたWOW!商品は、逆に市場がついてこない こともあり得ます。市場を教育しビジネスモデルとして確立させるこ とは、コンセプトを作る以上に重要です。これらの計画をしっかりと 立て、CCPMで一気呵成に完成させる。これが企業が永続的に成長し続 けるための骨格だと考えます。 今回は紙面の関係でここまでとしますが、興味がある方は、ぜひ下記 までご連絡下さい。 今回でコラムは終了となります。 TOCという再現性のある全体最適のマネジメント理論に興味を持って 頂ければ幸いです。 森田祥男(ゴールドラットコンサルティング) yoshio.moritaアットgoldrattgroup.com (宛先の「アット」を「@」に置き換えてご連絡下さい) ─────────────────────────────── ◆4. SPI Japan 2017を無事に終えて~実行委員長からの挨拶~ ─────────────────────────────── ■テーマ 「楽(かな)でる!」 ~共に楽しみ、共に創る! ■開催概要 日程:2017年10月11日(水)13:30 ~ チュートリアル 2017年10月12日(木)10:00 ~ 10月13日(金)16:00 本会議 開催規模:300名(一般参加者・講師・スタッフの総数) http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2017/ 今年も多くの方にソフトウェアプロセス改善カンファレンスSPI Japan 2017へご参加いただき、ありがとうございました。 久々の東京での開催を船堀で行うことができ、東京に戻ってくること を待たれていた方も多かったかと思います。 近年稀にみる多くの方の参加をいただき、本カンファレンスを無事終 えることができましたことを、改めまして心より感謝申し上げます。 誠にありがとうございました。 プロセス改善、品質保証業務に就かれている方はもとより、開発、研 究、そして顧客として参加された多くの方々に、今回のテーマである 「楽(かな)でる」のヒントになったでしょうか。 今回のカンファレンスを機に、利害関係者全員がプロセス改善に納得 し、改善の結果、楽しく業務を進めることができれば幸いです。 今年のカンファレンスは、チュートリアルから初日が始まり、引続き 2日間で活発なディスカッションが行われました。 2日目の本会議では、石黒先生の基調講演に多くの関心が集まりました。 先生には、これまでは軽視されていた「人らしいロボット」の製作と いった新分野を開拓されたことについてご講演をいただき、あっとい う間の2時間でした。 皆様にも興味のあるアンドロイドを判りやすくお話しいただき、会場 は食いつくように聞き入っていました。 そんな中でもリーダたるものはどうあるべきか、新たな分野を切り開 くとはどういうことか、といった石黒先生のお考えやご苦労が、十分 に伝わってきた講演でした。 ソフトウェア技術者以外にも是非聞いてほしい、非常にためになるお 話だと思います。 一般発表は、企業で実際に行われた37発表の改善事例をご報告いただ きました。 生々しく共感できる報告ばかりだったと思います。 特に今年は4トラックを同時に開催することにより、皆様にとってご 参加するための選択肢が増えたものだと思います。 それに続くトーク&納得セッションでも、切り口の違った6種類の部 屋をご用意し、盛んに討議が行われました。 一般発表やトーク&納得セッションでは聞き足らなかったこと、ある いは発表では語られなかった本音を引き出す場として、その夜の意見 交換会でも引き続き討議が行われました。 お酒も入り、より口が滑らかになったことでしょう。 真剣な中にも和気藹々としたひと時を、お過ごしいただけたかと思い ます。 最終日の最終セッションとしてのパネルディスカッションでは、立場 の異なるお三方がその場の会場からの疑問に答えるシナリオのない荒 業が幸いして、参加された方からは満足したとのお言葉を頂き、楽し んでいただけたものと安心しております。 今回のカンファレンスに参加された皆様、ご協力、ご支援いただきま した方々に対し、本当にありがとうございました。 遅くなりましたが、御礼申し上げます。 本カンファレンスを通じて開発・研究に関わるすべての方々が、共に 楽しみ、共に創ることがきる「楽(かな)でる」ことができるようにな ったことを信じております。 また今年の一般発表資料を、ホームページに掲載しております。 各企業で経験された情報が詰まっている貴重なものであり、皆様のプ ロセス改善の一助になれば幸いです。 SPI Japan 2017 実行委員長 宮川 研二 実行委員長補佐 権正 治好 副実行委員長 水田 恵子 副実行委員長 緒方 勝 プログラム委員一同 ─────────────────────────────── ◆5. SPI Japan 2018 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2018)の開催日と開催場所 が決まりました。 ■日程:2018年10月10日(水)~12日(金) ■場所:ウインクあいち(愛知県名古屋市) http://www.winc-aichi.jp/ 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス カッションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。 ─────────────────────────────── ◆6. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、17社の法人会員および個人の会員によって構成され ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという 法人会員、個人会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会について http://www.jaspic.org/organization/join_us/ ■会員企業と運営体制 http://www.jaspic.org/organization/members/ ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 年末年始は、忘年会や新年会の予定が入っている人も多いのではない のでしょうか。私は職場の同僚たちとのご飯会が毎月の恒例行事(定 例会)になっています。基本的には仕事終わりに皆で集まるという感 じなのですが、半年に1度は誰かのお家でホームパーティをやったりも します。実はこの毎月の企画を考えるのが意外と大変なのです。会合 を始めた当初はあのお店に行きたい、あれが食べたい、あれを作って みたいなど、どんどんアイディアが出ていましたが、段々とネタも尽 きてきて企画を考えるのが少々大変になっています。企画ネタを如何 に楽して考えるか?と皆であれこれ検討していたところ、世界各国の 料理を食べに行くのはどうか?という案が挙がり、最近は誰かが思い 浮かんだ世界各地の料理を食べに行くようにしています。ベタなとこ ろではイタリアン、中華、韓国料理、スペイン料理、インド料理、タ イ料理、ベトナム料理のお店に行きましたが、あまり見かけない変わ ったところではペルー料理、トルコ料理、ロシア料理のお店に行きま した。次はブラジル料理、ギリシャ料理が食べられるお店を探してい ます。皆さまのオススメ料理はどの国でしょうか?変わったお店をご 存知の方はぜひ教えてください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2017年12月号 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━