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 ◆ JASPIC メルマガ 2015年4月号 ◆
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本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ
ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。

* SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善

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 ◆目次
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 1. これから開催するイベント
 2. 個人会員制度のご案内
 3.Webリニューアルのお知らせ
 4. コラム:天野 勝(永和システムマネジメント)
           「PDCAサイクルを駆動するKPTふりかえり」
 5. 分科会の紹介:CCT分科会
 6. SPI Japan 2015 発表募集のご案内

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 ◆1. これから開催するイベント
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下記イベントの開催案内がJASPIC Web ページに掲載されています。
是非ご一読ください。

●SPIトワイライトフォーラム
  「もう一度改めてSPI活動を見直してみよう
     ~SPIって、クリエイティブなんだよねぇ~」
  http://www.jaspic.org/events/twilight/2015-4/

  発表者:艸薙匠(株式会社 東芝)
  主  催:日本SPIコンソーシアム(JASPIC)
  日  時:2015年4月24日(金) 18:30-20:30
  場  所:株式会社 東芝
          スマートコミュニティセンター(ラゾーナ川崎東芝ビル)
          416会議室
  http://www.toshiba.co.jp/contact/office_j.htm#KAWASAKI

●JASPIC例会(JASPIC研究員限定です)
  日時:2015年4月17日(金)
  内容:1.各社事例発表&知識共有ディスカッション
        【!従来の事例発表を刷新!】
         1)各社事例発表:
          「原点回帰!作業のしやすさに着目した単体試験方法の提案
                 ~単体試験時に用いるチェックシートの紹介~」
             株式会社 ニコンシステム様
         2)知識共有ディスカッションと発表:
             聴講した発表について理解を深め、関連知識を共有
             するためにグループ内でディスカッションを行い、
             その内容を発表する。

        2.SPIに役立つ?!ミニネタ紹介
        【!新企画!】
          知識の幅を広げたり深めることを目的とします。

        3.対談&グループディスカッション
        【!新企画!今回はワークショップ付き】
         『誰かの部屋 ~徹子さんへのオマージュ~』
         1)鼎談:
             ゲストに株式会社富士通マーケティング 松浦様を
             お迎えし、ワークショップの狙い・アジャイルに
             ついてのお話を伺ったり、質問したりします。
         2)グループでの議論:
             得られた知識をまとめて、似たような体験やご存知
             の関連知識を共有し、知識の幅を広げたり、深めた
             りします。
         3)グループ発表&登壇者コメント:
             得られた知識や話題に出たことを発表していただき
             例会全体で共有します。

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 ◆2. 個人会員制度のご案内
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JASPICはソフトウェアプロセス改善(SPI)に関する技術や活動の進め方
を学びたい、議論したいという法人を会員として活動してきました。
今回、SPI活動の輪をさらに広げていくためにJASPIC個人会員制度を発
足することにしました。
個人会員は、法人会員と同等の活動が可能で、このJASPICメルマガで
も紹介しているJASPIC内部イベントや分科会に参加することができま
す。具体的には、年5回開催される例会への参加、年1回開催される全
体合宿への参加、分科会への参加が可能です。分科会は自分の希望に
応じて複数の分科会に入会できます。またSPI Japan等のイベントには
優待料金で参加することができます。

JASPIC個人会員に関するお問い合せは、JASPIC事務局にお願いします。

JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org

法人会員についても引き続き募集していますので、自社にソフトウェ
ア開発プロセスをお持ちの企業の方は法人会員としての入会もお願い
します。

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 ◆3. Webリニューアルのお知らせ
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JASPICのホームページをリニューアルしました。JASPIC主催イベント
の紹介など、皆様のSPI活動に役立つ情報を発信していきます。

       http://www.jaspic.org/

過去メルマガの参照、配信登録/解除もホームページ上からできます。
今後はコンテンツの充実を図っていきますのでよろしくお願いします。

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 ◆4. コラム:「PDCAサイクルを駆動するKPTふりかえり」
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こんにちは、天野勝です。

皆さんは、どのような目標に対して仕事をしていますか?

意識していないかもしれませんが、少なくとも5つは関係しているこ
とでしょう。例えば企業の経営レベル、事業部レベル、部門レベルと
いった組織的なものや、プロジェクトレベル、プロジェクトのユニッ
トとなるチームレベルなどがあります。ミクロな視点でみれば、ワー
クパッケージやタスクを完成させるとのも、目標の一つです。

これらの目標を達成するのは容易ではなく、試行錯誤をしながら改善
を重ねることが必要となります。この試行錯誤しながら改善を繰り返
すサイクルを、「PDCA(Plan、Do、Check、Act)サイクル」と呼んでい
ます。

PDCAサイクルはとても有名なので、このコラムを読まれている方のほ
とんどがご存じだと思います。しかし、実践するのはかなり難しく、
知ってはいても、実践できていると自信をもって言える人はそう多く
ないというのが現状のようです。実践にあたって、ぜひ押さえておい
てほしいポイントを紹介ます。

そのポイントとは、「チェックをだれが、いつ、どうやるか」です。
目標が定まった後、その目標実現のためにPDCAサイクルを計画する際
に、PDCAの「Check」に焦点をあてます。

◇誰がチェックするか
複数人での活動の場合は、キーマンがチェックします。
数人のチームならば、そのチーム全員でチェックするとよいでしょう。
複数のチームで構成されているプロジェクトであれば、プロジェクト
マネージャとチームリーダでチェックを行ないます。
独りでチェックする場合に陥りがちなのが、割り込みによって優先度
が下がってしまい、放置されるという現象です。どうしても独りだと
スケジュールの都合がつきやすく、つい他のことを優先してしまいが
ちになりますが、複数人の人と行なおうとすると、直前での優先順位
付けが難しいため、優先度は下がりにくくなります。

◇いつチェックするか
目標の達成期限までを4~8つの期間に等分し、その期間の終わりに
チェックします。チェックとチェックの間が長くなると制御がしにく
くなります。しかし、短いと制御はしやすくなりますが、その分の
オーバーヘッドも無視できなくなります。
半年であれば、1か月ごとがよいでしょう。1年であれば、3か月ごと
に4つに区切ります。さらに、3か月を2週間ごとに区切って、入れ子
にしてもよいです。
チェックの日が決まったら、メンバーや会議室の予定をすかさず確保
します。

チェックをした際に、次のチェック日を決めるようなやり方だと、メ
ンバーの予定が埋まってしまうなど、調整に時間がかかりますし、タ
イミングよく行うのも困難です。
また、ある節目となる作業が終わった後に行なうという方法もあまり
好ましくありません。その作業が予定通りに終わればよいですが、終
わらない場合実施が遅れ、その都度、メンバーが参加できるように調
整をするのはムダです。

◇どうチェックするか
PDCAサイクルが1か月未満ならば、オススメするのが「KPTふりかえり」
です。KPTふりかえりとは、Keep、Problem、Tryの視点で物事を整理す
る思考フレームワークを用いて、今後の活動への改善を考えるファシ
リテーションの手法です。
KPTの各項目は、以下の通りです。

 Keep   今後も継続すべきと考える行動
 Problem  発生している問題となる事象、今後発生するかもしれない
      リスクとなる事象
 Try    今後の活動で試したい改善策

複数人の関係者が集まり、活動を客観的にふりかえり、良い点をより
良く、問題点については状況を改善するための施策について、意見を
出し合います。ここで挙がった改善策を具体化し、次のPDCAのPlanの
インプットとします。

改善策となるTryを検討する際は、Keepに対するTry、Problemに対する
Tryという関係性を念頭に置いてください。このように考えることで、
効果のある改善策が生まれやすくなります。例えば、「流行りだから」
「周りがやっているから」という理由で、新しい手法の導入をするこ
とがありますが、ほとんどうまくいきません。
意見を共有する際には、付箋紙を使うのがオススメです。付箋紙に自
分の意見を書いて、参加者が見えるように貼っていきます。
KPTふりかえりの詳細は拙著の『これだけ!KPT』を参考にしていただ
ければ幸いです。

これらの3つのポイントを参考に、PDCAサイクルを回してみてください。


天野 勝(永和システムマネジメント)

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本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します!
 ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有
   してみませんか?~

執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】
【氏名】を以下の宛先まで送付ください。
※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が
  ありますことをご了承ください。

 ◆執筆要領
  ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安
  ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK)
  ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載
    されていないもの
  ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能

 ◆宛先
   PR-infoアットjaspic.org

執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。
皆様の活発な投稿をお待ちしております!
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 ◆5. 分科会の紹介:コア・コンピテント・チーム(CCT)分科会
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JASPICでは、あるテーマに対して興味を持つメンバが集まり、一年間
にわたって議論する場として12の分科会が活動しています。その中か
ら今回は、コア・コンピテント・チーム(CCT)分科会の紹介をさせて
いただきます。

●コア・コンピテント・チーム(CCT)分科会
プロセス改善では、例えば、プロセスモデルの各プラクテスに照らし
て、その期待されるアウトカムを満たしていない場合、そのプラクテ
スに関連して改善が必要になると評定します。アジャイルであるなし
に係わらず、プロジェクトに遅れが生じていると気づいたとき、成果
物やデータなど十分に参照しないまま原因を見つけて対策を講じよう
とします。これらについてまず考えてみます。プロセスモデルのプラ
クテス毎に評価する方法では、例えば、過小あるいは過大見積りであ
ったというのは症状であり、他にも、見積もりプロセスが不正確であ
る、見積もりパラメータの指定間違い、不満足なソリューション(要
求理解不足)、要件管理不足、頻発する要件変更、不完全な追跡測定、
担当者が適切でなかった、教育を受けていない、など他多くが考えら
れるので、改善するためには、これらのいずれが「真の弱み」である
かを突き止めなければなりません。通常、この「真の弱み」が発生し
て時間が経過するため、他の多くの問題がカスケード的に発生し、そ
れらの中のどのプラクテスが真の弱みであるかはわかりません。現場
担当者でさえも調査を行っても、チームの成果物からこの「真の弱み」
を見つけ出すことはかなり難しいと考えてよいと思います。失敗して
から計画通りに進んでいないことに気づいても、「真の原因」を抑え
ていないために、やはり、その原因発生から時間が経つにつれて、多
くの問題がカスケード的に発生すると考えてよいと思います。つまり、
このようなアプローチでは、「真の弱みや原因」を正確に効果的に見
つけて改善する精度を上げることが大変難しいのです。この「真の弱
みや原因」をプロセス評定者ではなく作業担当者が具体的に捕まえた
時に改善しない限り、問題発生は続きます。

これを解決するプロセス改善へのもう一つの取り組み方法について、
2004年の初夏に当時のオリンパスの岩見さんに「カーネギーメロン大
学SEI研究所が提案しているチームソフトウエアプロセス(TSP: Team
 Software Process)によると“ソフトウエアエンジニアリングプロジ
ェクトが成功する稀に見る手法である”とトム・ヒバーン米国大学教
授が言っている」ことを紹介し、JASPICの研究会でのテーマにしては
どうかと思う」と相談したところ、プロジェクトが成功するための必
要なコンピテンシーが必要、更に、そのコアとなるものが何かを研究
しようということで、この「CCT研究会」が立ち上がりました。それか
ら10年、多くの皆さんがこの分科会の狙いや重要性に関心を持ってそ
のコアコンピテンシーを内蔵しているチームを体験し理解しようと毎
年工夫を重ねています。まず、大学院学生向けに書かれた「TSP入門」
のテキストに沿ってTSPパイロットを(いきなり!)試行しましたが、
チームメンバーがそのプロセスで使う用語を詳しくは知らないことが
判明して続行ができなかったという体験をしました。そこで、そのベ
ースとなる個人プロセス能力を学ぶのが重要ではないかということで、
宮脇さんリーダーのもとに、SEIが公開しているパッケージなどを利用
してパーソナルソフトウエアプロセス(PSP: Personal Software
Process)の勉強会を持ち、その実際のトレーニングを行い一定の成果
(PSPの種も一緒に)を得ることができました。その後数年かけて、
TSPの研究と開発者であるワッツ・ハンフリー著のテキスト3冊の翻訳
(JASPIC CCT分科会翻訳チーム)を翔泳社の協力を得て完成させまし
た。しかし、実は、この翻訳完成後にこのTSPパイロットを行っていま
せん。

TSPの本を通して学ぶことやこれらの経験談を聞いてある程度知識を
得ることは可能ですが、実際のプロジェクトで働いて得られる重要な
ヒントやコツが書かれていません。例えば、オーケストラの演奏家全
員が「うまく」演奏するためには音楽楽譜に沿って所定の音を出すだ
けでは不足です。曲全体のテーマや作曲者の考え、その時代背景や文
化などを理解し共有して演奏することが必要です。チームメンバーが
予定の進捗に合うように作業を分担実施できることに加えて、大きな
プロジェクトテーマ(目標)に対してチームメンバー全員が協力連携
して遂行できる(アジャイルである)ことが求められます。そのよう
なチーム構築を可能にするプロセスが定義されて、チームメンバー全
員がそれを知って実行できることが基本になります。一見難しそうで
すが、後述しますが、TSPプロジェクトを選択した大学院学生が実際
に実施できていますので、それほど難しくはなさそうです。そして、
そのためには、各メンバーが「互いに協力し合う」ことを可能にする
仕組みが重要な働きをします。

これまでの10年間で、まだ数は多くはありませんが、日本でも製品開
発のためのいくつかの(産業界向け)TSPを使用したプロジェクトが
実施されており、TSPプロセスに沿って実施された場合ほとんどが成
功を収めています。九州工業大学大学院情報創成専攻の大学院学生が
TSP入門テキストを使ってTSPを実施しており、システムテストで検出
される欠陥がほとんどゼロであるという結果を毎年出しています。ど
ちらの特徴も、予定通りに完了するTSPプロジェクトの成果物の品質
が以前に比べて5倍?10倍程度よくなっていることです。いつどのよう
にしてこの高品質の成果物ができるのか、そのプロセスをCCTメンバ
ーが正確に試行体験して学ぶことができれば、それを自分の現場に持
ち帰って生かすことができると期待しています。

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 ◆6. SPI Japan 2015 発表募集のご案内
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毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア
プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2015)の開催日と開催場所
が決まりました。

  ■日程:2015年10月21日(水)~23日(金)
  ■場所:姫路商工会議所(兵庫県姫路市)
          https://www.himeji-cci.or.jp/kaikannoannai

皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス
カッションを予定しております。まもなく発表募集を開始し、締め切
りは5月末の予定です。
詳しくは以下のWebページでお知らせします。
          http://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2015/

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 ◆編集後記
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メルマガ編集担当のA.Kです。
4月になり、街では新しいスーツを着た新入社員らしき人たちを見か
けるようになりましたね。私も新しい服で気分一新しようと思ってい
ます。さて、最近、私はお茶にはまっています。お茶といっても茶道
ではなく、ほうじ茶です。京都のある老舗茶舗のほうじ茶を知人から
もらったのですが、香ばしい香りと後味がいい感じで、会社に持ち込
んで休憩時間に毎日飲んでいます。でもほうじ茶はカフェインが少な
いのでたっぷり飲んでも、眠気ざましにはなりませんね。
気になった方は「京都 茶舗 享保年間」で検索してみてください。

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 JASPIC メルマガ 2015年4月号
 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/
 お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org
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