━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2025年6月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC研究員によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. 分科会の紹介:UX分科会 3. コラム:湯本 剛(株式会社 ytte Lab) QAはソフトウェアエンジニアリングを学ぶべきである ──「QAは何をする人か?」という問いへの回答 4. SPI Japan 2025 のご案内 5. 会員募集 6. コラム執筆者募集 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── ●JASPIC例会(JASPIC会員限定です) 日 時:2025年7月11日(金) 内 容:・SJ2025の案内 ・カンファレンス参加報告 ・合宿報告 ・進化する開発環境に関する講演×3本 ─────────────────────────────── 2. 分科会の紹介:UX分科会 ─────────────────────────────── UX分科会は、2025年度に活動を始めた生まれたての分科会です。UXの 問題に直面している方、魅力を感じて学び始めた方、色々な人とつな がりたい方などきっかけは色々ですが、UXでつながったチームです。 UX(User Experience)を「利用者体験」と訳することが多いのですが、 実はとても広い概念で、製品やサービスの開発に欠かせません。 良いUXは良い印象を提供しますが、悪いUXは事故を誘引します(*1)。 UXとは品質そのものであり、本質的価値だと語る人も多くいます。 UXは、使う瞬間の感情だけでなく、事前期待や利用後の感情といった 長い時間軸を扱います。そのため、UXに必要な技術・手法には、顧客 期待の見極め・利用者感情の洞察といった人間味あふれるものが含ま れています。もちろん、製品やサービスのイノベーションを実現する 標準的なプロセスも考えられており、情報構造の調査、画面設計など エンジニアリングの要素も多くあります。(*2) このように、ソフトウェア技術や製品・サービスの開発技術、プロセ スやプラクティスの隙間や重なり合う部分を扱いつつ、考え方や方向 性といった戦略領域の議論も必要とし、さらに認知や感性、感情など 曖昧な領域にも踏み込みます。このような領域に触れ、自由に考える 場であることが分科会の魅力です。 SPI Japan内企画のトーク&納得セッションなど、皆さんと接する機会 を見つけて、UXの魅力を広めていきます。ぜひ分科会の成長にご期待 ください。そして興味を持った方はぜひお声がけください。 【活動内容】 ・隔週で1時間程度、次のような題材で意見交換します。 主にオンライン開催です。 ・製品・サービスでのUXの工夫 ・UXを開発するプロセス ・人材育成の方法 ・JASPIC合宿やSPI Japanで技術紹介およびワークショップを企画中で す。ご期待ください。 例 ・UXプロセスのポイント ・調査・分析、実装の例 (*1)スリーマイル島原発事故(1979)や名古屋空港墜落事故(1994)は、 わかりにくいUIや直感に反する振舞が招いた事故といえます。 (*2)参考情報 ・技術・手法:ペルソナ、シナリオ、ワイヤーフレーム、 タイポグラフィ、ユーザビリティテスト、 デザイン思考、狩野モデル、フィールドワーク、 エスノグラフィ、感性工学、ラフ集合 ・規格・プロセス:人間中心設計、ISO9241、SQuaRE ・人物:ニールセン、ノーマン、ギャレット、黒須、山崎 ─────────────────────────────── ◆3. コラム:QAはソフトウェアエンジニアリングを学ぶべきである ──「QAは何をする人か?」という問いへの回答 ─────────────────────────────── 「QAってテストを担当する人ですよね?」 こうした問いかけは、現場でもコミュニティでも今なお頻繁に耳にす る。QAの仕事は確かにそれだけではない。 ソフトウェアの不具合は、単なるコーディングミスによって発生する わけではない。曖昧な要求、不十分な仕様、設計不在の実装など、プ ロセスの各段階に潜在的な原因が存在する。だからこそ、QAが品質に 責任を持つのであれば、開発プロセス全体への理解と関与が不可欠で ある。 私は最近、自社でQAエンジニア向けに「ソフトウェアエンジニアリン グ入門」という研修を実施した。この内容は、新卒エンジニアや、ソ フトウェアエンジニアリングを学びたいと希望する開発エンジニアに 対しても行った。 研修では、要求獲得、設計、構築、テスト、リリース、運用といった 一連の活動を“地図=プロセス”として捉えている。プロダクトの見 た目だけでは伝わらない複雑な構造や依存関係を、チーム全体が共通 の言語で扱えるようにするには、プロセスの可視化と理解が不可欠だ と考えている。 ソフトウェアエンジニアリングとは、再現可能な方法で問題を解くた めの考え方と仕組みである。品質を偶然ではなく意図的に高めるため に必要なものごとの総称であり、技術(ツールやテクニック)、プロ セス(活動や順序の定義)、人(学び、スキルアップ)の三要素が揃っ て初めて実践できる。特にプロセスは、開発での活動をブラックボッ クスではなく、具体的に明らかにして一緒に働く仲間で共有可能にす るためのものである。 テストによって品質が大丈夫か確認できるが、やみくもにやるもので はない。どこでどのようにテストが必要かを判断するには、前提とな る要求や設計の妥当性を評価できる知識と視点が求められる。さらに いうと、テストする前に問題が起きないようにできれば、なお良い。 それこそが、QAの役割である。 QAとは、問いを立て、問いに答える仕事である。そのうえで私は、QA を専門とする技術者は「何かのプロ」であるべきだと考えている。要 求分析でも、業務ドメインでも、データ設計でも、テストでも構わな い。ひとつ専門性の軸があれば、チームにおけるその人の言葉に信頼 が宿る。なので、テストを専門とする人がQAになるのであれば、テス トのプロになるべきだと考えている。いくつか問いの例をあげてみる。 要求や仕様のレビューであれば、このような問いかけが考えられる。 「この仕様、ユーザーが本当に困ってることに直結してますか?」 「この画面遷移って、将来的に別機能とぶつかりませんか?」 設計のレビューであれば、このような問いかけが考えられる。 「この処理って、あとから条件追加されたとき破綻しませんか?」 「今回この設計を選んだ理由、前提が最初と変わってないですか?」 リリース直前であれば、このような問いかけが考えられる。 「このタイミングで出すことで、サポートに負荷がかかりませんか?」 「仮に障害が起きた場合、復旧手順を今チームで共有されてますか?」 そうした問いの質は、プロとしての専門性に裏打ちされたものであっ てこそ、チームから信頼される。QAエンジニアはそのような問いを立 て、問いから逃げない仕事ができる人のことである。そしてその問い の質を高めるために、ソフトウェアエンジニアリングの理解と実践が 必要だ。だからこそ私は、QAにエンジニアリングを学んでほしいと考 えている。 湯本 剛(株式会社 ytte Lab) ─────────────────────────────── ◆4. SPI Japan 2025 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2025)の開催日と開催場所 は以下の通りです。 ■日程:2025年10月22日(水)~10月24日(金) ■場所:岡山コンベンションセンター (ママカリフォーラム)(岡山県岡山市) 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス カッションを予定しております。7月末から参加者の募集を開始いた します。詳しくは以下のWebページでお知らせします。 https://www.jaspic.org/events/sj/spi_japan_2025/ また、noteにて、SPI Japan 2025 情報を掲載しています。 上記公式サイトでは未公開の最新情報も紹介していますのでぜひご覧 ください。 https://note.com/note_jaspic/m/m061b9a6231e6 ─────────────────────────────── ◆5. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、13社の法人会員および個人の会員によって構成され ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという 法人会員、個人会員、分科会会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会のご案内 https://www.jaspic.org/basicDocuments/Brochure.pdf ■会員企業と運営体制 https://www.jaspic.org/organization/members/ 入会を希望される方はお気軽にJASPIC事務局にお問い合わせをお願い いたします。 JASPIC事務局メールアドレス:infoAアットjaspic.org ─────────────────────────────── ◆6. コラム執筆者募集 ─────────────────────────────── 当メルマガのコラムを執筆していただける方、大募集します! ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有 してみませんか?~ 執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】 【氏名】を以下の宛先まで送付ください。 ※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が ありますことをご了承ください。 ◆執筆要領 ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安 ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK) ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載 されていないもの ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能 ◆宛先 PR-infoアットjaspic.org 執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。 皆様の活発な投稿をお待ちしております! ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 先日、小学校時代からの友人に、以前私からもらったサボテンがまだ 元気に成長していると写真を見せてもらいました。 私にはサボテンをあげた記憶が全くないうえに、まだ成長していると いうことで大変驚きました。恐らく旅先でお土産に買ったものかなと 思うのですが、少なく見積もっても30年は前のことかと・・。 サボテンの寿命を調べてみたところ、一般的には10年から20年程度と されているようです。子どものお小遣いで買うようなサボテンだともっ と短いものもあるかもしれません。声掛けをしたり大事に育ててくれ ているようでとても嬉しくなりました。今度は音楽を聴かせてあげる そうです。 私は植物は枯らしてしまいがちなのでもう何年も育てていませんが、 サボテンを買ってみようかなと思い始めています。他にもずぼらな性 格でも育てやすいオススメの植物があったら是非教えてください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2025年6月号 発行:日本SPIコンソーシアム https://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━