━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2024年10月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. Vivid Voices ~永田敦さんへのインタビュー~ 3. SPI Japan 2024 実施報告 4. SPI Japan 2025 のご案内 5. 会員募集 6. コラム執筆募集 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── ●JASPIC例会(JASPIC会員限定です) 日 時:2024年11月7日(木) 13:30-17:15 内 容:1. 会員企業事例発表 ・富士通 ・SRA 2. ディスカッション 3. SPI Japan 2024報告 4. カンファレンス報告(Euro SPI、SQiP) 5. ライトニングトーク 6. 講演 ・どのようなソフトウェア開発活動で生成AIが活かせ るか? ─────────────────────────────── ◆2. Vivid Voices ~永田敦さんへのインタビュー~ ─────────────────────────────── Vivid Voices 第2回はサイボウズでアジャイル開発の品質を探求して いらっしゃる永田敦さんをお迎えして、いろいろと伺ってまいります。 メルマガ編集者(編):今日は在宅でのお仕事であったにも関わらず インタビューにおいでいただいてありがとうございます。 早速ですが、どのような経緯で品質保証に携わるようになったのか、 教えてください。 永田さん(永): メーカにいた時にきっかけがあったんです。 私は業務用の磁気記憶装置の開発に関わってたんですよ。高速で、 大容量の。それの第三世代ぐらいのときに、どデカい障害が起きま して。しかも考えられるすべての障害が起きたんです。それがビジ ネスに大きく響きました。品質がビジネスをダメにしたんですよ。 元はハードウェアの問題だったんですが、それをソフトウェアで何 とかしようとすること、ありますよね?それもやりました。そうし たら、更に問題が大きくなっていってしまったんです。 編: ビジネスに響くというのは、具体的にはどのようなことだったので すか? 永: 品質問題が起きて、お客様に出向いて説明しなくてはならないので すが、そこで問われる訳です、一体何が起きているのか、と。それ で、一所懸命説明しました。「これがこうなったのでちゃんと動き ません」って。そこでね、言われるんですよ、言い訳なんか聞いて もしようがないって。現在のはこれこれこうなっている、それがい つどうなるのか、それが聞きたいことなんだと。 一所懸命に技術的な問題を説明して、「すみません、頑張ります、 お許しください」ってね。でも、品質の説明をしていなかったんで す。それが問題だと気づいて、勉強を始めました。品質はビジネス をする最低の条件だし、お座なりにすれば技術もそこでダメになる んだと思って。 そういう、品質に端を発して、痛い目を見て、ビジネスが危うくなっ ていった状況を目の当たりにしたんです。 これはショックですよ。卓越した技術を持っているのに、あっとい う間にビジネスが縮小しちゃうんですから。品質って怖いですね。 当時私は設計に関わっていたんですが、「それどころじゃない」と なって。品質をどうにかしないといけないと思いました。 こういうことが起きたのは2000年過ぎですね。Wモデル*1 とか、テ ストの話、TEF*2 とか、そこから、JaSST*3 やASTAR*4 とかが始まっ たところなんですよ。それでテスティングの業務に携わるようになっ たんです。秋山さんに来てもらってHAYST法*5 も勉強しました。そ の時にはテストベース*6 がそもそも更新されていない、古すぎる、 みたいな指摘をもらいました。 テストの元になるものがしっかりしていないと思って、そこから要 求工学とかも勉強して。そこから(テストというものとの関連付け で)プロセスへの関心も出てきました。 こんな感じで、設計からテストへと関心が移ってきたんです。 編: 「設計からテストへ」ということは、以前はものを作る技術者の方 だったんですね。そして、「品質はビジネスをする最低の条件」と いうのは、それをきちんと扱わないとお客さんが付いてこなくなる よ、みたいな意味ですか? 永: 品質をちゃんと扱っていないとビジネス自体が凄く縮退しちゃうっ てことです。ひどい時には同種の障害が世界中で起こるので、その 対応だけでてんやわんやになってしまうので。 編: 品質って何でしょうか? 永: まずは欠陥のないことです。障害が起きて、ソフトウェアにも問題 があって、人を沢山集めて一所懸命直そうとするんですけど、バグ があとからあとから出てくるんですね。 お客様への説明でも、そうしたことを、つまり頑張っているけれど も問題が収束しませんみたいなことを言うんだけれど、お客様はそ んなこと聞きたくない訳ですよ。既に買ってしまっているんだし。 問題自体の説明をすればするほど逆に不安にしてしまう。そこは、 これこれが問題でした、それに対して今こうしていて、これこれの 時期にこうした評価を行なって、あらためてお納めします、その間 こういう報告をいたします、と言わないと。 我々の製品は大容量で速度も速くて、それが魅力で買ってくれてい るのに、それが使えない、ちゃんと動かないんだから、容量や速度 が生きていない。お客様が欲しかったものが使えない。お客様が安 心して使えて、それで初めて性能とかが秀でているって感じてもら えるんだから。 つまり、魅力的品質*7 が欲しくてお客様が買ってくださるんだけれ ど、それは当たり前品質*7 があって初めて意味を持つんだというこ とが、記憶装置の障害をきっかけに分かるようになった。そこから 品質ってどう扱うべきなんだろうかと言う自問と勉強をして、品質 保証を仕事にするようになったんです。 テストって、ウォーターフォールだとプロジェクトの最後の方でや るものなんだけど、もっと手前で、早くに、品質って何とかできな いものかなと、思う訳ですよ。それで勉強して、さっき言いました ように要求を書くところまでさかのぼるんですけどね。 品質を保証するためには最後にテストをやるだけではダメだと思った 永田さんがどうしたか?次号に掲載のインタビューの続きをお待ちく ださい! 【脚注】 *1 Wモデル:W字モデルとも呼ばれる。V字モデルでの各活動に関して、 開発対象の作成とその検証・修正を明確に識別して、検証を初期か ら継続的に行なえる視点を提供する開発モデル。 *2 TEF:テフと読み、Testing Engineer’s Forum(ソフトウェアテス ト技術者交流会)の略。ソフトウェアテストに関する技術交流を行 なうために西康晴氏が設立した。 *3 JaSST:ジャストと読み、ソフトウェアテストシンポジウム(Japan Symposium on Software Testing)の略。ソフトウェアテストに関連 した情報交換を行なう集まりであり、年に複数回、日本各地で開催 されている。現在はASTARが運営している。 *4 ASTAR:アスターと読み、Association of Software Test Engineering(ソフトウェアテスト技術振興協会)の略。西康晴氏ら が日本のソフトウェア産業に対して品質面で貢献すべく設立した特 定非営利活動法人。 *5 HAYST法:秋山浩一氏の提唱するソフトウェアテスト方法論。 *6 テストベース:テスト仕様を作成する活動の入力情報。 *7 魅力的品質、当たり前品質:狩野紀昭氏他が提唱した品質の種類。 ─────────────────────────────── ◆3. SPI Japan 2024 実施報告 ─────────────────────────────── 2024年10月16日-18日に “「響かせる」 ~未来を拓くカイゼン、一緒に探求しましょう~” をテーマに SPI Japan 2024を開催いたしました。 一般発表20発表の中から以下の方々が受賞されました。(敬称略) ■最優秀賞 リモートワーク時代に適応するためのレビュープロセス改善の取組み ~勤務スタイルを変えたら、レビュースタイルも変えよう!~ 小林 一郎(SOMPOシステムズ株式会社) ■実行委員長賞 ソフトウェアプロセス改善推進の知見の科学技術・イノベーション 政策推進への応用 田村 朱麗(株式会社東芝) なお、発表資料は11月末を目途にJASPIC Webサイトに掲載いたします。 ─────────────────────────────── ◆4. SPI Japan 2025 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2025)の開催についてお知 らせいたします。 ■日程:2025年10月22日(水)~24日(金) ■場所:岡山コンベンションセンター(岡山県岡山市) https://www.mamakari.net/ 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディスカッ ションを予定しております。詳細は決定次第JASPICホームページにて ご案内いたします。 ─────────────────────────────── ◆5. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、17社の法人会員および個人の会員によって構成され ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという 法人会員、個人会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会について https://www.jaspic.org/organization/join_us/ ■会員と運営体制 https://www.jaspic.org/organization/members/ ─────────────────────────────── ◆6. コラム執筆募集 ─────────────────────────────── 本メルマガのコラムを執筆していただける方、大募集します! ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有 してみませんか?~ 執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】 【氏名】を以下の宛先まで送付ください。 ※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が ありますことをご了承ください。 ◆執筆要領 ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安 ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK) ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載 されていないもの ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能 ◆宛先 PR-infoアットjaspic.org 執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。 皆様の活発な投稿をお待ちしております! ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 10月といえば、SPI Japan。参加していただいた皆様、ありがとうござ います。私は現地沼津でスタッフの一員として参加しました。会場名 のプラサヴェルデはスペイン語で「緑の広場」という意味だそうです。 通路の壁に丸太を使っていて樹のぬくもりを感じる会場でした。 沼津といえば海産物。晩ごはんに近海ネタのお寿司を食べましたが、 新鮮で美味しかったですし、地酒や地ビールは富士山の水を使ってい ると思うとより美味しく感じました。近年は某アニメの聖地としても 有名なようで、駅舎にキャラクターが描かれていたり、グッズショッ プがありました。SPI Japanに現地参加することでその街に興味を持つ ことができるのも一つの楽しみですね。 来年は岡山開催です。ぜひ現地参加を検討してください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2024年10月号 発行:日本SPIコンソーシアム https://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━