━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ JASPIC メルマガ 2019年10月号 ◆ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本メルマガでは、定期的に日本SPIコンソーシアム(JASPIC)主催のイ ベント情報やJASPIC関係者によるコラム等をまとめてお伝えします。 * SPI(Software Process Improvement):ソフトウェアプロセス改善 ─────────────────────────────── ◆目次 ─────────────────────────────── 1. これから開催するイベント 2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム 2019年7月 3. イベント共催報告:TCSE2019 JAPAN TRACK 2019年7月 4. コラム:陸野 礼子(日新システムズ) 「エフェクチュエーション」の思考プロセスを課題解決に 活かす 5. SPI Japan 2019 実施報告 6. SPI Japan 2020 のご案内 7. 会員募集 ─────────────────────────────── ◆1. これから開催するイベント ─────────────────────────────── ●JASPIC例会(JASPIC会員限定です) 日 時:2019年11月12日(火) 内 容:1.SPI Japan 2019報告 2.内部講演 「アジャイル開発やPMを成功に導くコミュニケーション スキルの磨き方」 3.カンファレンス報告 ・EuroAsiaSPI2019参加報告 ・SQiP2019参加報告 4.事例紹介 株式会社SRA 5.事例発表をもとにした共有セッション ─────────────────────────────── ◆2. イベント実施報告:SPIトワイライトフォーラム 2019年7月 ─────────────────────────────── 今回は、JASPICアジャイル分科会の成果物である「アジャイル開発ス タートアップキット」を用いて、現状分析とアジャイル開発へのギャ ップ克服のヒントの取得を、演習を交えて体験していただきました。 キットは以下の構成になっています。 1. アジャイル開発スタートアップガイド 2. アジャイル開発問診票 3. アジャイルSEPGの知恵袋 第一部では「アジャイル開発スタートアップガイド」を解説しました。 アジャイル開発への注目が高まる中で、アジャイル開発に不慣れな SEPGがこのキットを使用することで、アジャイル開発を導入する際の 不安や疑問点を解消し、現場を助けるという狙いを紹介しました。 第二部ではワークを行ないました。参加者同士がペアを組んで開発役 とSEPG役になり、「アジャイル開発問診票」にある14の質問について 話し合いながら回答しました。そして、レーダーチャートを作り、気 になる箇所について「アジャイルSEPGの知恵袋」を参照してヒントを 得ました。 最後に、質疑応答を行ない、多くの質問をいただきました。アジャイ ル分科会からキットを使用した事例も紹介し、理解を深めました。 フォーラム終了後は、会場近くの居酒屋で懇親会を開催しました。お いしいお酒と海の幸をいただきながら、楽しくアジャイル談義をしま した。 ─────────────────────────────── ◆3. イベント共催報告:TCSE2019 JAPAN TRACK 2019年7月 ─────────────────────────────── JASPICが共催するTCSE2019 JAPAN TRACKが7/29(月)~31(水)に千葉工 業大学で開催されました。同大学の小笠原先生(JASPIC個人会員)のホ ームページに開催報告が掲載されております。 https://sel.jpn.org/blog.php#2019-08 *Taiwan Conference of Software Engineering, Taiwan ─────────────────────────────── ◆4. コラム:「エフェクチュエーション」の思考プロセスを課題解 決に活かす ─────────────────────────────── 「エフェクチュエーション(Effectuation)」という言葉を聞いたこと があるでしょうか? エフェクチュエーションとは産業・地域・時代によらず、優れた起業 家が問題解決のために活用している共通の論理思考プロセスです。 経営学者サラス・サラスバシー氏によって、27名の熟達した起業家に 対する実験から、極めて不確定性の高い市場環境において問題解決の ために経験ある起業家によって用いられる論理を発見、体系化されま した。この体系化によって、どのような特性を持つ人でも学習可能で 活用することができます。 エフェクチュエーションには5つの原理があります。 (原理1) 「手中の鳥(Bird in Hand)」の原則 「目的主導」ではなく、既存の「手段主導」で何かあたらしいもの をつくること (原理2) 「許容可能な損失(Affordable Loss)」の原則 期待利益の最大化ではなく、どこまで損失(マイナス面)が許容可 能かに基づいてコミットする (原理3) 「クレージーキルト(Crazy-Quilt)」の原則 コミットする意思を持つ全ての関与者と交渉し、パートナーシップ を築く (原理4) 「レモネード(Lemonade)」の原則 予期せぬ事態を避けるのではなくむしろ偶然をテコとして活用する ※悪いレモンならばレモネードにして売る→失敗からの発想転換 (原理5) 「飛行機のパイロット(Pilot-in-the-plane)」の原則 コントロール可能な活動に集中し、予測でなくコントロールによっ て望ましい成果を帰結させる 私が着目したのは、SEPGでも活用できる思考プロセスだという点です。 SEPGが改善をする際に、複雑な課題であればあるほど動けなくて停滞 してしまいがち、さらにいろいろなステークホルダーを巻き込まない と解決できないケースがあります。そんな時に「行動を起こす」手段 として活用できます。 例えば、SEPGの行動パターンに当てはめてみます。 エフェクチュエーションは「手段を評価する」プロセスからスタート します。その際に、3つのお題目「自分は何者か(能力、特徴など自分 の資産)」「何を知っているのか(自分が持っている手段)」「誰を 知っているのか」を描き出します。(原理1) そして、あるべき姿に向けて、自分の持ってる手段の中から何を使う か、誰(開発現場のキーマン?マネ-ジャー?社外の有識者?)と繋 がればいいかを決めます。(原理3) 次に、リスクを小さくするために、ほんの小さなことから始めます。 失敗を怖れることなく行動を起こすことができるからです。(原理2) 繋がった人が持っている手段との出会いから新しいアイデア、新しい 機会を創る。失敗しても、小さいことから始めているので、その失敗 から新しいアイデアを創り、すぐに次の行動を起こすことができます。 予期せぬ出来事・情報に出会ったとしても機会として捉え自分の手段 の拡張に使います。(原理4) 手持ちの資源・パートナーシップ・行動によって自らの行動環境を創 るので、コントロール可能な活動に集中しできることから小さな成功 を繰り返し、課題解決に結びつけていくことができるのです。(原理5) 今回紹介したのはほんの一部にすぎないので、詳しくはWEBや書籍をご 一読いただければと思います。皆様のプロセス改善活動に当てはめて いただき、何かヒントを発見していただけたらと思います。 (参考書籍) 『エフェクチュエーション:市場創造の実効理論』碩学舎 陸野 礼子(日新システムズ) ************************************************************** 本欄のコラムを執筆していただける方、大募集します! ~SPI活動を通じて感じたこと、気づいたことをみなさんと共有 してみませんか?~ 執筆希望の方は下記の執筆要領をご確認の上【タイトル】【本文】 【氏名】を以下の宛先まで送付ください。 ※内容については必要に応じて体裁調整などの修正を行う場合が ありますことをご了承ください。 ◆執筆要領 ・1400文字前後(1行あたり全角31文字×45行程度)を目安 ・フォーマットは自由(wordやテキスト、メール本文でOK) ・著作権上の問題をクリアし、他ブログやサイトなどに掲載 されていないもの ・氏名の掲載がNGまたは抵抗のある方はペンネームでも可能 ◆宛先 PR-infoアットjaspic.org 執筆に関するご質問やご意見などについてもお寄せください。 皆様の活発な投稿をお待ちしております! ************************************************************** ─────────────────────────────── ◆5. SPI Japan 2019 実施報告 ─────────────────────────────── 2019年10月9日-11日で“「つなげる」 ~ 共通性を見つけて取り組み を体系化しよう! ~”をテーマに SPI Japan 2019を開催いたしまし た。一般発表30発表の中から以下の方々が受賞されました。(敬称略) ■最優秀賞 MFP用システムソフトウェアの海外拠点主体開発への挑戦 上流工程移管と海外主体開発プロセスの構築 長野 慎也(東芝テック株式会社) ■実行委員長賞 CMMIからautomotive SPICEへの移行による相違点の抽出とシナジー 効果 CMMIとAutomotive SPICEのマルチモデル活用事例 新海 良一(株式会社日立ソリューションズ) ■プログラム委員長賞 デジタル時代に求められる自律的にソフトウェアを改善するプロセ スとマネージメントのあり方 アジャイル開発の実践現場で機械的組織から有機的組織へ変革させ た実践ノウハウとは 西川 俊晴(富士通株式会社) ■特別賞 静的×動的プロセス改善の実践と課題 共通性×相違性~見つけ方とつなぎ方 安達 賢二(株式会社HBA) なお、発表資料は11月末を目途にJASPIC Webサイトに掲載いたします。 ─────────────────────────────── ◆6. SPI Japan 2020 のご案内 ─────────────────────────────── 毎年実施しておりますSPIに関する国内有数のイベント、ソフトウェア プロセス改善カンファレンス(SPI Japan 2020)の開催日と開催場所 が決まりました。 ■日程:2020年10月14日(水)~16日(金) ■場所:プラサヴェルデ(静岡県沼津市) https://www.plazaverde.jp/ 皆様からの改善活動の成果や失敗から得た知見などの発表やディス カッションを予定しております。詳細は追ってご案内いたします。 ─────────────────────────────── ◆7. 会員募集 ─────────────────────────────── JASPICは、現在、15社の法人会員および個人の会員によって構成され ています。SPIの技術や活動の進め方を学びたい、議論したいという 法人会員、個人会員を募集しています。 詳しくは、次のサイトを参照してください。 ■入会について http://www.jaspic.org/organization/join_us/ ■会員と運営体制 http://www.jaspic.org/organization/members/ ─────────────────────────────── ◆編集後記 ─────────────────────────────── メルマガ編集担当のA.Kです。 今年のSPI Japanは京都テルサでの開催でした。今年も参加していただ いた皆様、ありがとうございます。カンファレンスと共に京都の街を 楽しめたのではないでしょうか。私は時間の関係で、観光はあまりで きなかったのですが、知人から聞いた京町家を利用した雰囲気良いお 店で美味しいおばんざいをいただくことができました。 ところで、京都テルサの「テルサ」って何か分かりますか? 実はTown・Employee・Relax・Refresh・Social・Amenityの頭文字をつ なげてTERRSA(テルサ)なんです。その意味は「都市(Town)の中で働く 人々(Employee)のためのリラックス(Relax)とリフレッシュ(Refresh) を目的とした出会い(Social)の広がる快適な(Amenity)環境」だそうで、 雇用保険法に基づく勤労者福祉施設として設立されました。他にも中 野サンプラザなどが同じ趣旨で設立されています。 テルサと聞くたびに私の頭の中では「時の流れに身をまかせ~♪」が エンドレスで流れていました。 テルサ・テン。。。。って、それはテレサやろ~~~(笑) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JASPIC メルマガ 2019年10月号 発行:日本SPIコンソーシアム http://www.jaspic.org/ お問い合わせ先:infoAアットjaspic.org ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━